巨人 首位独走の理由「誤算」をカバーする変幻自在の原采配
巨人が2位阪神、DeNAに9・5差もの大差をつけ、首位を独走。原監督は「後半戦が怖いですよ。プロ野球はそうそう差は出ない。逆に気が引き締まる」と話すが、貯金17を積み上げ、前半を折り返した。
大型補強をして迎えた今季。下馬評通りともいえる結果だが、順風満帆のシーズンという訳ではない。開幕早々、1番・二塁の吉川尚がけがで離脱。5番候補だったビヤヌエバ、守護神候補だったクックの新助っ人はともに期待通りの働きはできていない。それ以外にもエース菅野、4番岡本の不調など“誤算”は少なくない。
だが、吉川尚の穴は2軍からはい上がってきた若林、山本で埋め、5番には2年目の大城を抜てき。リリーフでは4年目の中川が中心となり、昨季に比べて逃げ切る試合も増加。先発陣では山口が中心となり、15年ドラフト1位の桜井も本来の力を発揮し始めた。
原監督は常々、優勝の絶対条件として「若手を含めた新戦力の台頭」と口にしている。ここまでチームを引っ張っているのは野手陣では坂本勇、丸であり、投手陣では山口、そして不調とはいえエースの菅野。その軸に阿部や亀井ら経験豊富なベテラン勢の勝負強さ、若手の力も加えて勢いを加速させている。
デイリースポーツ評論家の関本四十四氏は、ここまでの原采配について「前半戦最後の阪神3連戦では代走の増田大で勝負を仕掛けたり4番の岡本にもバントさせたり、采配が徹底している。ただ、これは前政権でも同じだった。今年は外国人を一気に4人入れ替えたり、先発をスパッと三回までに降ろしたり、決断がより早い。旬な選手を使い、選手の能力を最大限に引き出すことで弱点を補っている」と、振り返る。
大胆かつ、柔軟な原采配。その特徴が顕著に表れているのがリリーフ陣の起用法だ。開幕から頻繁に選手の入れ替えを断行。現在、勝ち試合で起用されるのは中川を中心に病み上がりのマシソン、田口、大竹、沢村。「勝利の方程式」は固定していないが、1点差ゲームは13勝7敗と接戦の強さが際立っている。
一方で、勝負の夏場へ準備に抜かりはない。リリーフ陣に厚みを加えるため、新外国人としてデラロサを補強。開幕前は指揮官が「セットアッパー候補」とまで言っていた吉川光、宇佐見を交換要員に、日本ハムから中継ぎ要員の鍵谷、藤岡を獲得した。楽天には野手の有望株だった和田恋を送り、本格派の古川も加わった。
「フロント、現場も同じ考えを持ち、同じ目標をシーズン最後の最後まで持ち続ける」と原監督。5年ぶりのV奪回へ、一丸となって突き進んでいる。