星稜・奥川 野手でコールド発進 本業投手も上向き打撃に手応えバッチリ
「高校野球石川大会・2回戦、星稜10-0七尾東雲」(15日、石川県立野球場)
最後の夏は「野手・奥川」で発進!石川大会2回戦に星稜が登場し、今秋ドラフト1位候補の奥川恭伸投手(3年)は「5番・右翼」で先発出場。コーチに授かった「知識」で打撃を改善し、長打2本をマークしコールド発進に貢献した。今夏の初マウンドはお預けとなったが、4季連続の甲子園に向けて好スタートを切った。
「本業」ではない野手起用にしっかりと応えた。一回1死、内山の3ランで先制した直後だった。奥川は5球目を振り抜くと、弧を描いた打球は右中間を破り、悠々と三塁へ。ここから4安打を集めてさらに5点を追加するなど、初回8得点の速攻劇の“つなぎ役”を担った。
六回1死一、二塁では左越え二塁打を放ち、追加点を呼んだ。「長打を意識した。初戦で2本打てて気持ちは楽になった」と頬を緩めた奥川。それでも、芯で捉えたかどうかなど、安打の質に対して反省を忘れなかった。
奥川が「本業は投手」と断言するように、普段から野手陣ほどバットを振り込まない。春季北信越大会で優勝して以降は練習試合で打撃に苦しむ時期があった。調子が上向いたのは6月中旬になってからという。
きっかけの一つが、コーチから授かった「知識」だ。奥川は詳細については明言を避けたが「バットに当てることができるようになった。打席で相手投手だけでなく、自分の型を意識するようになった」。意識の変化は、気持ちと打撃に好作用をもたらした。
チームは「投手・奥川」の力に頼ることなく、初戦を危なげなく突破した。林和成監督(43)は「投手の起用法は前日に決めた」と明かし、この日の投入は予定していなかった。実戦登板から離れる中、注目される出番について奥川は冷静に受け止めている。
「夏はスタミナの消耗が激しい。それに右翼でも、イニング間のキャッチボールなどで肩を作ることはできる。時間を見つけてブルペンに入っていきたい」。たとえ野手出場が続いたとしても、余念なく準備に徹する考えだ。
高校生活最後の夏。「感覚は悪くないので、(マウンドは)いつでも行けます。決められたところで仕事します」。奥川は万全な状態を強調し、4季連続の聖地だけを見据えている。