タイガースアカデミー中村泰広さん 人口増加へ--子供たちに野球の楽しさ伝える
裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。第4回は「タイガースアカデミー」です。元阪神投手の中村泰広さん(40)は、今年から事業本部振興課長として、タイガースアカデミーの運営や企画に携わっています。活動の根本や野球人口の増加、阪神ファンの獲得を目指したスクール拡充に向けた取り組みを明かしてくれました。
◇ ◇
実際にプロ野球でプレーしてきた元阪神の選手から野球を教わることができるタイガースアカデミー・ベースボールスクール。幼児コース(年中)から小学6年を対象に開講されており、子どもたちが練習に励んでいる。
昨季まで金本監督付の広報課長として、3年間従事してきた中村さんは今年から新たに事業本部振興部課長に着任し、アカデミーの運営や企画などを担うポジションとなった。
「野球人口の増加であったり、タイガースファンを増やしていきたいということを狙いとしています。去年は450人ぐらいでしたけど、今年は750人くらいに増えてます」 昨年から開かれていた西宮校、芦屋校などの5校に加え、今年4月からはアカデミーの拡充を図り、垂水校や尼崎橘校などを設置。現在は10校で開講されている。野球人口の低下が著しいと言われている中で、受講生の数は右肩上がりだ。
ただ、拡充しただけではないという。今年からは小3~小6を対象としたアドバンスコースを宝塚校と甲子園浜校に設けた。「上達を目指したい、プロになりたい。セレクションに合格した子どもたちが受講しているコースです」。通常のクラスは30人ほどだが、アドバンスコースは20人ほどに絞っている。
広報時は現場(主に球場など)で監督をはじめ選手やスタッフ、新聞社や放送局などのメディアと関わる機会が多かったと話すが、今年からは球団事務所内での仕事や実際にアカデミーに出向き、子どもたちと触れ合う機会が多くなったという。「全く見え方は180度変わりましたね」と明かしてくれた。
「子どもたちが糸井選手など阪神の選手のモノマネなどをしているのを見ると、本当にタイガース、プロ野球が好きなんだな。ファンとしての気持ちが実感できましたよね」
阪神の現役選手とアカデミー生をつなぐイベントはできないか-。6月中旬、2軍戦後の甲子園球場室内で「ふれあいイベント」を開催した。「同じタイガースのユニホームを着ているわけですから。つながりを大切にしてほしいですし」。トークショーや質問コーナーなどが行われ、ファームの選手と交流した子どもたちは目を輝かせていた。
このようなつながりやアカデミーの活動を通して「子どもたちに野球って楽しいんだな、ということをまずは伝えていきたいですよね」と中村さんは言葉に熱を込めた。
振興部としては1年目だが、阪神の投手として6年間戦い、12年からは球団職員として広報を務めてきた。「僕自身タイガースにお世話になってきました。現場でチームを見てきた経験を生かしたい。タイガースに貢献したいというところでは同じなので」。培ってきた経験を糧に、野球人口や阪神ファンの増加に尽力していく。