星稜・奥川 涙!感動の165球!伝説生み出した 23Kで延長十四回サヨナラ導く

 「全国高校野球選手権・3回戦、星稜4-1智弁和歌山」(17日、甲子園球場)

 伝説となる死闘の主役は、やはりこの男だった。今秋ドラフト1位候補の星稜・奥川恭伸投手(3年)が右足をつるアクシデントに見舞われながらも14回を投げ切り、23三振を奪って3安打1失点で完投。延長十三回から今大会初のタイブレークに突入し、十四回にサヨナラ勝利が決まると号泣した。石川県勢としては春夏通算60勝(夏40勝)。18日の準々決勝では仙台育英と対戦する。

 2時間51分の死闘の結末に、主役の笑顔が映える。一走としてサヨナラ弾を見届け、歓喜のガッツポーズだ。「勝ったんだなって不思議な感覚になりました」。奥川の165球が伝説を生み出した。

 「あきらめそうなところもたくさんありましたが、自分を鼓舞してやれたことが去年からの成長と思います」

 何度も吠(ほ)え、感情を吐き出す。強打の智弁和歌山相手に唯一の失点は失策絡みで、最速タイの154キロも記録。「3試合で一番良かったです」。延長を含めた参考記録での23奪三振は、73年の江川卓と同じ数。怪物と並んだ快投も、すべて順調とはいかなかった。

 アクシデントは延長十一回。2死から四球を与えたところで右足がつった。その裏の攻撃後に治療でベンチ裏へ。「(昨年を)思い出しました」。激戦の最中、苦い記憶がよぎる。昨夏、2回戦の済美戦で右足をつり途中降板。チームはタイブレークの末サヨナラ負け。涙で黒土を集める先輩の姿に、1年後のリベンジを重ねた。

 「僕も持って帰ろうかなと思ったんですけど持って帰らなかったんです。来年、絶対に強くなって帰ってこようと思ったので」

 右足をつり、そしてタイブレーク…昨年と同じ流れを乗り越えた。「(つった後は)向こうは攻めどころだと強い気持ちで向かってくると思ったので、気持ちを入れ直して投げるように心掛けました」。足をつってからも153キロを記録。三塁アルプスからの「ジョックロック」にも「みんなで曲に合わせて乗るぐらいに曲を楽しもうと考えていたので」と笑顔で投げきった。

 「絶対投げきろうと思っていたので。去年みたいに降板しなくて良かったです」と奥川。歓喜のフィナーレの後は涙で校歌を歌った。「握手をした時に『日本一を取ってくれ』って黒川キャプテンに言われて、こみ上げるものがありました」。試合中には、相手の黒川からつった右足のための漢方ももらった。真剣勝負に交錯した18歳の純情。背負った期待に応えたい。

 「(明日も)投げろと言われれば投げたいなと思います」。まだ道半ば。日本一に輝くまで、闘志が絶えることはない。

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