星稜・奥川 涙で幕切れ「上の舞台でまた甲子園に立ちたい」

 「全国高校野球選手権・決勝、履正社5-3星稜」(22日、甲子園球場)

 石川県、そして北陸勢初優勝の悲願成就とはならなかった。星稜(石川)が95年以来の決勝戦に挑んだものの、3-5で履正社(大阪)に敗れ2度目の準優勝。星稜のエースで今秋のドラフト1位候補の奥川恭伸投手(3年)は、9回5失点という投球で、試合後には涙を流す場面もあったが、この試合まで防御率0・00と期待通りの活躍で甲子園を盛り上げた。U18高校日本代表にも選出されている中、プロ志望届を出すことも濃厚で、また大きくなって必ず甲子園に帰ってくる。

 試合終了直後、時折笑顔も見せた取材の輪が解ける。懐かしい声がスタンドから聞こえた。「中学の顧問の先生に声をかけてもらって…」。笑って応じても言葉は心に染みた。ベンチに入ると一気に感情があふれ出る。仲間の顔がかすんで見えた。奥川の18歳の熱い夏は涙で幕を閉じた。

 「(掛けられた言葉は)『もうちょっとちゃんとしろよ』と(笑)。でも温かい言葉ももらったりして。(涙は)そうやって支えてもらっている人がいて、野球ができていると実感できた瞬間でした」

 数え切れない思いを背負ったマウンド。「(状態は)良くなかった」。激投の蓄積に狂いが生じる。最速153キロを記録してもベンチでは「ボールがいかない」と漏らしていたほど。悔やんだのは先制直後の三回。2死一、二塁から井上に逆転3ランを浴びた。今大会初の自責点だった。

 「失投で悔いが残るなと。ちょっと(右手が)足に引っかかってしまって。野球の神様が自分に与えてくれた課題かなと思います」

 北陸初優勝の悲願成就はならずとも、充実感が残る。「(甲子園は)幸せな最高な場所だなと。入学当初は1回でも来れたらと思っていて4回も来れて仲間に感謝したい」。運命の決勝戦。雨の順延もあった中のこの日、偶然、山瀬と共に中学日本一に輝いた3年前と同じ日付だった。

 「2人で日本一になりたかった思いはありますし、チームメートにも恵まれたなと。星稜高校に入って良かったと思います」。高校日本一はかなわなかったが、ここまで見せてきた情熱は色あせない。

 閉会式後にはマウンドの土を思い出に持ち帰った。「自分は上の舞台で野球をしたいと思っているので、またこの甲子園に立ちたいなという気持ちはありますしその時は大きくなった姿で立ちたいと思います」と奥川。明言こそ避けたがプロ志望届を出すことが濃厚。令和最初の夏を沸かせた男がさらなる夢を追う。

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