中日・大野雄 ノーノー達成!史上81人目 4年ぶり2桁星に王手
「中日3-0阪神」(14日、ナゴヤドーム)
中日の大野雄大投手(30)が14日、ナゴヤドームで行われた阪神(23)戦で史上81人目(通算92度目)の無安打無得点試合を成し遂げた。6日に令和初達成としたソフトバンク・千賀に続いて今季2人目。セ・リーグでは昨年の巨人・山口俊に次いで39人目で、中日としては2013年の山井大介以来。失策と四球での出塁は許したが、打者29人に対して126球で今季9勝目(8敗)を挙げた。
己を取り戻した男はその名を球史に刻み付けた。大野雄が史上81人目となる無安打無得点試合を達成した。
「自分には縁がないものと思っていたので信じられない気分です。自分ひとりだけでは達成できないですし、野手や加藤、大野(奨太)さんのリードのおかげです」
立ち上がりから盤石だった。初回無死。木浪のバットが砕く音が快投ショー幕開けの合図だった。常時140キロ後半をマークする直球を軸に五回まで完全投球。六回1死から味方の失策で初めての走者を許しても「まだ無安打でしたし、これで打者と無理に勝負しなくてよくなった」とすぐに切り替えた。
「狙った」という九回はギアが上がる。最後はこの日最速の151キロで近本を三直に。偉業達成の瞬間、これまで平静を装っていた左腕はマウンド上で無邪気に4度跳びはね、喜びを爆発させた。9回で9三振を奪い、偉業に花を添えた。
1年前はどん底にいた。新人以来の未勝利。完全に自信を失い「登板して序盤に失点したら敗戦後のコメントまで考えてた」というほど。そんな大野雄を変えたのは塚本コンディショニングコーチの言葉だ。
「プロ野球選手は夢をかなえてきた人たちだから実現性が高い。どうせならポジティブにいこう」。昨年は2軍担当として昇格しては打たれる姿を見てきた同コーチに秋季キャンプ中に掛けられた言葉。「9年目で一番安定した成績を残せているのはその言葉のおかげ」と振り返る。
今季9勝目。4年ぶり4度目の2桁勝利も見えてきた。「最後まで順位が確定するまで全員で戦っていきたい」。左腕の鮮やかな復活劇はまだ終わらない。