巨人優勝 敗れたセ5球団の敗因と誤算「得点力に差」「総合的なチーム力が…」
セ・リーグは巨人が5年ぶりにペナントレースを制覇した。
坂本勇、丸、岡本を軸に強力打線を形成。投手陣に不安要素を抱えながらも、原監督が戦力をフル稼働して頂点に導いた。
6月以降、首位の座を守り抜いた巨人。一方、敗れた他の5球団の敗因、誤算はどこにあったのか。
まず、昨季まで3連覇の広島は浮き沈みの激しいシーズンとなった。5月に11連勝。だが、交流戦で5勝12敗1分けと負け越し。交流戦明けには20年ぶりの11連敗(1分け挟む)も喫した。
切り込み隊長の田中広がけがで力を発揮できず離脱。ドーピング検査で陽性反応を示したバティスタもチームを離れ、巨人へ移籍した丸の穴を埋めきれなかった。3連覇を支えたリリーフ陣には蓄積疲労もあり、守護神中崎の不調で勝ちパターンが崩壊した。
DeNAは最後まで巨人を追い上げたが、4月に喫した10連敗が重くのしかかった。開幕後、打線の軸である宮崎が極度の不振。リーグワーストの38盗塁の数字が物語るように攻撃パターンは乏しく、10連敗中は得点力不足に苦しんだ。
投手陣も昨季の新人王・東が故障で出遅れるなど、復活した今永と並ぶ柱ができず。ラミレス監督は巨人について「勝利に必要なものを全て備えたチーム」と称えたが、けが人の穴を埋める控え選手の差も勝敗を分けた。
阪神は12球団トップのチーム防御率3・56。ただ、投手を中心にした守りが強みのはずが、リーグワーストの99失策とミスが目立った。
矢野監督が「得点力に一番、差を感じた」と話した通り、貧打にも泣いた。新助っ人のマルテはけがで出遅れ、途中加入のソラーテは「モチベーションが上がらない」という理由がきっかけで契約解除。4番で期待された大山は殻を破れず、頼みの糸井は8月上旬に離脱。ドラフト1位・近本がセ・リーグ新人最多安打記録を更新したが、若手の押し上げも乏しかった。
中日は先発で大野雄と柳が奮闘。だが、鈴木博が5月下旬に守護神剥奪となるなど、リリーフ陣が安定感を欠いた。主軸に成長した高橋が離脱した7月に、8連敗を喫したのも響いた。
ただ、巨人が優勝を決めた21日時点で総得点が総失点を上回っているのは、セ・リーグでは巨人と中日だけ。けが人も戻った9月は投打もかみ合い、12勝5敗と好調。CS争いを演じている。
ヤクルトは3、4月で15勝11敗。首位にも立ったが、転落も早かった。5月14日から、6月1日までリーグワーストタイの16連敗。ここから、はい上がることができなかった。
2年目の村上が36本塁打とブレークするなど、強力打線は健在。だが、チーム防御率4・73と投手陣が崩壊した。特に先発陣は計算の立つ投手が不在で、勝ち頭は7勝の39歳石川。開幕投手を務めた小川、昨季10勝のブキャナン、飛躍を期待された原は総崩れとなった。小川監督は巨人について「絶対的な強さというより、総合的なチーム力があったという印象が強い」と語り、各チームが層の厚さに屈した形となった。(数字は全て、9月21日時点)