西武連覇!ソフトバンクと最大8・5差逆転で23度目V 辻監督10度舞った
「ロッテ4-12西武」(23日、ZOZOマリンスタジアム)
大逆転Vで令和最初の覇者だ!西武が2年連続23度目(前身の西鉄を含む)の優勝、辻発彦監督(60)が千葉の空で舞った。マジック2で迎えた24日、先に2位ソフトバンクが敗れ、西武はロッテに快勝。8・5ゲーム差をひっくり返し、142試合目で連覇を果たした。戦いは終わらない。昨年ソフトバンクに苦渋をなめさせられたクライマックスシリーズ(CS)を突破し、2008年以来11年ぶりの日本一を狙う。
たくましくなった選手たちに身を委ね、辻監督は笑っていた。10度、宙に舞った。開幕から首位を守り続けた昨年から一転し、最大8・5ゲーム差をはね返しての逆転V2。平成最後のリーグ王者は時代をまたぎ、令和の初代覇者となった。「今年は苦しくなかったよ。プレッシャーは昨年と比べたら天と地ぐらい。全然苦しくなかった」。偽らざる本音だった。
連覇を決めた一戦は快勝だった。二回に一挙5得点。三回に山川の43号2ランも出た。投げても後半の快進撃を支えたニールが6回を3失点で踏ん張った。そして先にソフトバンクが敗戦。午後9時54分、西武らしい大勝、歓喜の瞬間が訪れた。ニールは球団の外国人投手新記録となる11連勝で12勝目だ。
あの涙がスタートだった。昨年10月21日。CSファイナルSでソフトバンクに屈した。「悔しいです。ここで今シーズンが終わるとは考えていなかった」と大観衆の前でおえつした。将は「そんなの見たくもない。もう絶対に泣かないからな」。誓いを立てた。
オフに菊池(マリナーズ)、浅村(楽天)、炭谷(巨人)と主力3人が抜けた。ソフトバンクに開幕3連敗。勝率5割前後を行き来し、タカの背中は遠のいた。「8月に入るころまではAクラスとしか考えられなかった。上より下を見ていたから。日本ハムや楽天がすごく気になっていた」と明かす。
その中で大きな決断を下した。8月11日のロッテ戦(ZOZOマリン)。不調の山川を2年ぶりに4番から外した。「我慢したよ。山川だけは絶対にずっと代えないでいくつもりだった」。我慢強い性格を自負する指揮官が「絶対」を覆した。本人に直接伝えることもなかった。代わって4番に座った中村が勝負強さを発揮すると、潮目は変わった。宿敵とのマッチレースに持ち込んだ。
辻監督は“壁”をつくらず、選手たちと接し、コンディションを把握する。試合後は選手ロッカーを通って監督室に向かう。「普通にフレンドリーにしゃべれる方がいいじゃん。選手が何をしようが、茶髪であろうが何でもいい。ちゃんとグラウンドでやってくれれば。野村(克也)さんには(文句を)言われるけど」と笑った。
昨年末の故郷佐賀。父広利さんの三回忌で墓前に優勝を報告した。「お墓でいろんなことをお願いしたらいかんと聞いたから。頑張るよ」とV2への誓いを立てた。ここがゴールではない。CSを突破し、日本一に輝いてこそ涙からのストーリーはハッピーエンドを迎える。その時は「絶対」を破って涙がこぼれるかもしれない。