巨人・阿部【引退会見3】新人の自分に助言するなら…「マスコミに負けず頑張れ(笑)」
巨人・阿部慎之助捕手が25日、都内のホテルで会見に臨み、今季限りで現役を引退することを表明した。涙はなく、時に熱く巨人や野球界全体への愛情を語り、時にユーモアをたっぷりに、報道陣も“いじり”ながら胸中を語った。以下、阿部の一問一答の要旨(3)。
-これまでの現役生活で熱く盛り上がったシーンは。
「たくさんある。いつも熱く盛り上がって野球をやっているつもりなんですけど。なんだろうな。最近、ちょっと物忘れが多いので。今年の400号を打った時ぐらいですかね。優勝ももちろん。優勝の時、今年一番の速さでマウンドに行ったと思うので。少年のように。それが近々の思い出です」
-優勝の時、原監督に肩を組まれていた。どのような言葉を。
「監督さんも感極まっていて、涙を流されていて。いやーうれしいな。今年の優勝は格別だなって言っていただいて。僕も感極まっていて、ひと言も返せなかったのが、悔いが残ります」
-阿部さんにとって野球の魅力とは。
「正解がないところかな。配球であったり、打ち方、作戦、すべてにおいて正解がない。スポーツ全般で言えると思うけど、野球は一番はそれじゃないかなと思います」
-振り返って会心だったという本塁打、安打は。
「400号と2000本になっちゃいますね」
-どんな思いがあったか。
「400号を打った時は、自分がここまで打てるとも思ってなかったですし。昨年、それを十分に意識してシーズンに入っていってなかなか打てなかったので。このまま打てないんじゃないかと思って打てたホームランだったので。それがすごくうれしかったですね」
-プロ野球の素晴らしさは。
「夢を与えるという素晴らしいことができるのが野球だと思いますし。それをどう広めていくかというのもプロ野球全体で考えていかなくちゃいけないことだと思います。都内だとキャッチボールする場所もないし、キャッチボールをしているだけで苦情も来たりするので。僕の希望は国民を挙げて野球にもっと興味を持っていただいて、国民の皆さんに協力していただければ、もっとすごく選手が将来もっとたくさん出てくるのではないかと思います」
-阿部さんにとって野球とは。
「僕にとっては一寸たりとも心の中から消えないものでしたね。何かしている時でも心の中は野球のことしかなかったんじゃないかと思いますね」
-この先は変わることはあるか。
「多分、死ぬ寸前まで野球が好きなんじゃないですかね」
-全国各地で阿部さんを応援している人たちがいる。その人たちに向けて。
「ちょっとまだサプライズ的に引退を決断したところがあって、ちゃんと連絡出来てない方もたくさんいるので。この場を借りて連絡出来てない方もたくさんいらっしゃいますが、19年間という長い野球生活の中で、たくさんお世話になったことを熱く、熱く御礼申し上げたいと思います」
-デビュー戦に臨む阿部慎之助に対し、今の阿部慎之助はどんな言葉をかけるか。
「マスコミに負けず頑張れってな(笑)。それだけかな。偉大な先輩がたがたくさんいるなか、とにかく負けるなと言ってあげたいですね。負けるなと」
-打者として対戦が楽しかった投手は。
「たくさんいますけど、昨日の藤川君も同世代で、敵ですけど切磋琢磨(せっさたくま)して、巨人阪神、阪神巨人戦を盛り上げてこれたんじゃないかなと思っているので。阪神が強かった時にJFKとかあったけど、その時の藤川君はすごいボールを投げていたし、そこですごく燃えるものもあったので。だからこそ昨日の甲子園で、あの声援をいただけたと思います」
-家族も毎日心配する中、祖母にどう報告されるか。
「まだ墓参りができてないんだけども。とにかく自分の幼少期はすごくお世話になった方なので。とにかく見守ってもらっていたと思うので。そこは本当にいつもありがとうございましたというのは、これからもお墓の前で言ってあげようかなと思います」
-登場曲のセプテンバー。これは9月21日のことを歌っている。優勝日は9月21日。この偶然を知っていたか。
「教えてくれたよ。それは正直分からなかった、それを聞いてちょっとぞくっとしたこともあった。あの曲を使って良かったというのもある。あれを流すことによって、僕が代打で出てきてすごい声援をいただけるので。あれが阿部慎之助のテーマソングなんだというのが印象づけられたので。良かったなと思っています」