巨人・阿部「JFKに燃えた」巨人一筋19年 笑顔で引退会見
巨人の阿部慎之助捕手(40)が25日、都内のホテルで会見を開き今季限りでの現役引退を表明した。巨人一筋で貫いた19年間の現役生活に終止符を打つベテランは、400号到達や坂本勇が主将となって優勝したことを挙げ「ある意味僕も荷が下りた」と笑顔で語った。引退後は指導者としての活躍が期待されるが、その前にCS、日本シリーズに向けて最後の勇姿を見せる。
晴れ渡った笑顔だった。19年間の現役生活。ここ数年は首のヘルニアなど積み重なる故障で苦しみもした。それでも「やっぱり誰よりも野球が好き。そこが原動力」。通算2000安打や400本塁打を達成した阿部は少年のような瞳で幸せそうに振り返った。
自分を見いだし、育ててくれた恩師の言葉が引退を後押しした。入団1年目、当時ヘッドコーチだった原監督の提言で開幕スタメンを果たした。「原さんがいなかったら、僕はここまでなってなかった」。5年ぶりのV奪回から一夜明けた22日のヤクルト戦後。指揮官と言葉を交わした。「僕の将来のことを、僕が思ってる以上に考えてくださってた」。2人きりの話し合いを終え、阿部は引退を決意した。
阿部にとって阪神戦は格別だった。「敵ですけど、切磋琢磨(せっさたくま)して盛り上げてこれた。(当時は)JFKがいてすごい燃えるものがあった。だからこそ昨日の声援をいただけたんじゃないかな」。24日の今季最後の伝統の一戦。敵地で九回に代打で出場し、藤川と全球直球勝負を演じた。虎党からもわき起こった“慎之助コール”に胸が熱くなった。
長嶋茂雄終身名誉監督からは「これからまだ野球人生長いから」と言葉を掛けられたという背番号10。今後は指導者として後進の育成にあたることが濃厚だが、まだやることはある。「これからもっと大事なゲームが控えている。身近な大事な試合に集中したい」とCS、日本シリーズに向けて表情を引き締めた。