日本製鉄鹿島 元阪神の玉置が好投で激闘を制す 藤川の言葉が励み
「社会人野球・日本選手権・1回戦、日本製鉄鹿島2ー1JFE西日本」(26日、京セラドーム大阪)
日本製鉄鹿島が延長十二回タイブレークでサヨナラ勝ち。日本ハムのドラフト1位のJFE西日本・河野竜生投手(21)との投げ合いで好投し、勝利に貢献したのは元阪神の日本製鉄鹿島・玉置隆コーチ兼投手(33)だ。133球を投げ10回5安打1失点10奪三振の投球で、7回1/3を7安打1失点だったドラ1左腕以上とも言える存在感を示した。
「河野君というドラ1のピッチャーと投げるのを楽しみにしてました。これからプロで投げる選手と投げ合えることはないと思うので。楽しかったです」
巧みな投球術で要所を締めた。「力だけじゃないというのがこの年でようやく分かってきてそれができたかなと」。延長十回は2死三塁から連続死球で満塁のピンチを招いたが無失点。「甘くなって打たれるのが嫌で。当てるぐらいというか、当ててしまって相手に申し訳なかったですがそれぐらい攻められたなと」。阪神時代から変わらない強気の姿勢が勝因だった。
15年に阪神を戦力外となり16年から日本製鉄鹿島でプレー。今は会社や地元の人の思いも背負う。台風19号の被害にも触れ「大変な中(会社の人や地元の人も)足を運んで下さっていて。勇気付けようとかカッコいいことは言えないですが、そういう方たちにも楽しい試合になればなと思ってました」と話した。プロの舞台から離れてもピッチャーであり続けてきた。励みになったのは、阪神時代に自主トレなども共にしていた藤川の存在だ。
「球児さんに言われた言葉は常にあります。今年7月ですかね、都市対抗の時に。カッコいい生き方してるな、ってLINEを頂いたときはうれしくて。泣いてしまいそうでした」
思えば、社会人で野球を続けることに背中を押してくれたのも藤川だった。「今でも気にかけてもらっていて、素晴らしい人です」。阪神では04年のドラフト9位で入団し、11年を過ごした。野球があったからこその出会いに感謝を思いながらも、今年で一区切りを付けるという。
「野球人生を引退というほどかっこいいものではないですが、そういう意味ではかけてるものがあって、その気持ちがなかったら今日のピッチングもできてないと思います」
現役引退で、コーチ業に専念するということでもない。「仕事で会社に恩返ししていきたい。今は少しでも長くみんなと野球をやれたらなと思います」。阪神で得た財産、社会人野球の重み…数々の誇りを胸に、玉置が集大成のマウンドに立ち続ける。