元カープ戦士・山本翔監督の島根・矢上は惜敗 悲願の甲子園出場は来夏へ持ち越し
「秋季高校野球中国大会・準々決勝、倉敷商10-9矢上」(28日、コカ・コーラジャパンスポーツパーク野球場)
元カープ捕手の山本翔監督(35)が指揮を執る矢上(島根1位)は延長の末、倉敷商(岡山2位)に敗れたものの、選手は驚異的な粘りを発揮した。
2点を追う九回裏、2死走者なしから適時打と敵失で同点に追いつくと、延長十回も3点を取られながらその裏、2本の適時打で再び試合を振り出しに戻した。十一回に1点を失い、その裏も2死走者なしから一、二塁の好機を作ったが、あと1本が出なかった。
山本監督は「選手は一生懸命頑張ってよく追いついたが、最後は残念な結果になってしまった。勝てなかったのは私の責任」と無念の表情。力を出し切った選手には「どんな状況になっても決してあきらめないことを言い続けてきた。その言葉通り、だれ一人あきらめることなく、後ろにつなぐ意識を持って頑張った」とたたえた。
山本監督は福岡・東筑高から01年度ドラフト5位でカープに入団。9年間在籍したものの1軍出場はなく、10年限りで現役引退。その後、会社員をしながら広経大の監督や少年野球の監督を務めた。17年4月に島根県邑南町の職員となり、教育委員会生涯学習課に配属。豊富なキャリアを買われて、同年7月に同町にある矢上の監督に就任した。
「“カープ大学”で9年間、いろんなことを学ばせてもらった。すべてが今の指導に役立っている」。チームは着実に力をつけ、今秋の県大会で優勝。中国大会に24年ぶり2度目の出場を果たし、26日の1回戦では盈進(広島3位)を延長十三回タイブレークの末に6-3で下した。
4強入りを逃し来春のセンバツ出場は厳しい状況となったが、確実に甲子園は近づいている。「今回、広島や岡山の学校と対戦して、また違った野球を見せてもらったので、(来夏に向けて)もう一度、しっかりとチームを鍛え直していきたい」。高校時代は縁のなかった山本監督にとっても甲子園出場は悲願。選手とともに夢へのチャレンジは続く。