侍・誠也 世界一とMVPの勲章 8戦打率・444 4番の責任果たした
「プレミア12・決勝、日本5-3韓国」(17日、東京ドーム)
決勝に臨んだ日本が2日連続の“日韓戦”を逆転で制し、初優勝を飾った。2009年の第2回WBC以来、10年ぶりに世界一の称号を手にした。3点ビハインドの重苦しい雰囲気を振り払ったのが、4番・鈴木誠也外野手(25)だ。反撃ののろしとなる適時二塁打を放ち、全8戦で安打をマークするなど文句なしのMVP。2020年の東京五輪でも4番を頼む-。
耳をつんざくような大歓声が東京ドームに広がる。歓喜の瞬間。鈴木は右拳を突き上げ仲間の元へ向かい、満面の笑みで抱き合った。文句なしの大会MVP。10年ぶり世界一の立役者となり、「最後勝てて良かった。今日は自分の結果よりもチームの優勝を心に刻んでやってきた」と喜びをかみしめた。
頂を決める一戦でも、チームを勢いづけた。0-3の一回2死一塁。左腕・ヤン・ヒョンジュンの内角高め直球を振り抜くと、痛烈な打球は左翼フェンスを直撃。これが適時二塁打となり、二回の山田の逆転3ランを呼び込んだ。
今大会は全8試合で4番出場。全試合安打を放ち、3試合連続弾もあった。打点も、敗れた米国戦以外の7戦で挙げた。2次ラウンドまでで集計される打率・478、12打点、9得点で“3冠”のタイトルに輝き、ベストナインのタイトルも獲得。世界にその実力を証明した。
来年開かれる東京五輪の4番へ、大きく期待を寄せられる結果を残した鈴木。「僕は4番のタイプじゃない。気にせず、つなぐ意識が多かった」と振り返った一方で、今春には「みんなに認められて(五輪の)4番を打ちたい」と語り、シーズンへ向かった1年でもあった。
今季は首位打者、最高出塁率を獲得。「常に練習から甘い球を一発で仕留めてヒットゾーンに持っていくのはやっている」。今大会中もシーズン同様、打席中でノーステップ打法に切り替えるなどして、普段対戦しない相手にも対応してきた。2年前のWBCでは打率・214、0打点。その屈辱から誰もが認める日本の4番打者に成長した。
稲葉監督は4番の理想像を落合博満氏や長嶋茂雄氏の名前を挙げ、「過去を見ていても、本当の4番打者は右の長距離砲」というものだった。まさに鈴木がその言葉を体現した今大会だ。
来夏の東京五輪へ-。「まだたくさんいい選手はいて4番を打つか分からないが、どこのポジションでもやることは変わらない。次の大会も優勝できるように頑張ります」。侍の主砲として「SUZUKI」が日本を熱気の渦に巻き込んでくれそうだ。