イチロー氏 学生野球監督も!研修受講で資格回復へ 国内の高校大学指導可能に

 米大リーグ・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(46)が、プロ経験者が学生野球の指導者となるために必要な学生野球資格回復の研修を受講することが12日、球界関係者への取材で分かった。13~15日に東京都内で開かれる研修会を修了し、日本学生野球協会から承認されれば、国内の高校野球、大学野球での指導が許される。学生球界にイチロー監督が誕生する可能性も出てきた。

 日本学生野球憲章はプロ経験者の関与を原則的に禁じており、学生野球を指導するためには、プロ球団の退団と資格回復の手続きが必要となる。イチロー氏は引退後もマリナーズに在籍しているが、野球界への功績の大きさやアマ選手の獲得に携わる立場ではないことを踏まえ、特例的に退団前の資格回復が認められるとみられる。

 引退後のイチロー氏が目指すのは高次元の技術を自ら表現できる「野球の研究者」だ。投げる、打つ、走る、それぞれの動きを現役時代同様に体現できる状態を保ち、自ら手本を示すことで若手らへの説得力は増す。必要とあれば知識や技術を惜しみなく伝えるつもりで、学生野球資格回復の研修会参加はそのための布石でもある。

 5月にマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター就任後、打撃投手として若手選手の試合前調整に徹底的に付き合った。その過程で日本の高校野球で議論が起きている球数制限の問題などに強い関心を持ち、自らを実験台に得た感覚や経験を球界に何らかの形で還元したいという思いに至ったようだ。

 今、草野球に力を入れるのは小、中学生が軟式球を使うメリットや金属バット使用の弊害などを実際に体感できることもあるという。自分が野球を楽しむだけでなく、そこで感じたことを役立てたいという思いは強い。

 3月の引退会見では「監督、絶対無理ですよ。人望がない」と否定的だったが、「子どもなのか、中学生、高校生、大学生なのか分からないけれど、それには興味あります」とアマ選手の指導には興味を示していた。体も技術もある程度出来上がったプロ選手だけでなく、心身が発展途上の若者にもイチロー氏の思いは向いている。

 資格回復が承認されれば、ルール上は学生野球の監督にもなり得る。先日の草野球デビューだけにとどまらない。今後も球界のレジェンドの言動から目が離せない。

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