DeNA退団 寺田は医者目指す…21年医学部受験目指し猛勉強開始

 数多くの選手が今季限りでユニホームを脱いだ。第2の人生のスタートに向け、次の進路が決定した選手もいれば、未定という選手もいる。DeNA・寺田光輝投手(27)は、医者を目指すという異例の決断をした。

 苦しみ抜いたプロ2年間。その分、得られたものもあった。「苦しくて、どうしたらいいか分からない中でも、何かつかめるんじゃないかと、もがき続けることの大事さを学べたような気がします」。ボールをペンに持ち替え、寺田は医者を志すことを決めた。

 異例の挑戦は恩返ししたいとの思いからだ。「親が病院を開いていて、親族にも開業医が多い。その中で誰も医者になれと言わずに野球をやらしてもらった。親孝行じゃないですけど、自分にできる恩返しという気持ちで」。地元・三重県の塾で働きながらサポートを受け、まずは21年のセンター試験で大学医学部合格を目指す。

 伊勢高校を卒業後、国立の三重大に進学したものの、より高いレベルで野球をするために退学し、筑波大体育専門学群に合格。知り合いではないが、東京五輪後に引退し、医者を目指すことを公言しているラグビー日本代表の福岡堅樹は筑波大の同期だ。

 文武両道の秀才ではあるものの、理系の勉強とはあまり縁がなかった。予備校などには通わず、独学でいばらの道を行く。それでも、プロ野球生活で培ったものを生かして未来を切り開いていく。

 心に残っている言葉がある。1年目の春季キャンプ。かわいがってくれた先輩の梶谷から「野球選手の前に、お前も俺もただの人だからね。野球がうまいから偉いわけではない。どんなに結果が出ても間違えるなよ」と助言をもらった。誰からも信頼される医者に-。不断の努力で新たな夢を実現させる。

 ◆寺田 光輝(てらだ・こうき)1992年1月5日生まれ、27歳。三重県出身。175センチ、76キロ。右投げ右打ち。投手。伊勢高から筑波大、BC・石川を経て、2017年度ドラフト6位でDeNA入団。1軍登板なし。

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