佐藤義則氏 ダル&マー君への指導は「もっと直球にこだわれ」と要求したことくらい

 カブス・ダルビッシュ有、ヤンキース・田中将大ら、後のメジャーリーガーのみならず、阪神、オリックス、日本ハム、楽天、ソフトバンクで数多くの投手を育て、また1軍投手コーチとしてはすべてのチームを優勝に導いた名伯楽・佐藤義則氏が再び、デイリーの解説陣に加わった。技術論にとどまらない、深い解説はオープン戦以降の楽しみとして、まずは指導者としての来歴を、自身に振り返ってもらう。

  ◇  ◇

 ダルビッシュ(有・カブス)を育てた、田中(将大・ヤンキース)を育てた…。よく言っていただきます。でも僕は、少し違ったふうに思っています。

 彼らは最初から非常に高い能力を持っていました。ただ若いころは、その能力を生かす方法が分からない。だから、ちょっとしたコツを伝えれば、後は放っておいても大丈夫なんです。

 ダルビッシュの場合は、僕が2軍投手コーチだった2005年の入団前にヒザを痛めていたので、初めてブルペンに入れたのは、キャンプも終盤あたりでした。

 いざ、投げられるようになってみると、左足の着地点がバラバラ。それはもう1球ごとに修正をしないといけないくらいでした。そこさえ直れば、あとはもう勝手に勝てるピッチャーになっていましたね。

 あと指導したとすれば、例えばペットボトルをユニホームの後ろポケットに入れてランニングするような、気を抜いた時にカミナリを落としたり、これは田中とも共通するのですが「自分はスライダーピッチャー」という自己分析に、10年活躍するためにも「もっともっと直球にこだわってくれ」と要求したことくらいでしょうか。

 僕の厳しい口調にも、きちんと聞いて、やるべきことをやってくれたのが、ダルビッシュでした。

 田中もフォームに問題はなかった。ただ、ボールに体重が乗り切らないことがあったので、ブルペンでセットポジション時の、田中の背中(一塁側)に、体が当たるか当たらないかのところに僕が立って、一塁側に体重がかからないよう、前にステップしてから回転できるようなドリルを施しました。

 これでクロス気味に素晴らしいボールを投げられるようになって、その後はもう何も言う必要がなかったですね。

 こうしたコツを伝えることは、重要です。ただ、この2人のように勝手に育つ場合もあれば、もうちょっと背中を押す必要があるピッチャーもいました。ソフトバンクの千賀(滉大)は、その1人でしたね。

 ◆佐藤 義則(さとう・よしのり)1954年9月11日生まれ、65歳。北海道出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。函館有斗から日大を経て、76年度ドラフト1位で阪急(現オリックス)入団。最多勝(85年)、最優秀防御率(86年)、新人王(77年)。95年8月26日・近鉄戦でノーヒットノーラン。通算成績は501試合165勝137敗48セーブ、防御率3.97。98年現役引退後はオリックス2軍投手コーチ、阪神・日本ハム・楽天・ソフトバンクの1軍投手コーチを務めた。2020年からデイリースポーツ評論家に復帰。

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