「ヤクルト春季キャンプ」（１日、浦添）

　ヤクルトの石川雅規投手（４０）が１日、３年ぶりの開幕投手奪還を力強く宣言した。「開幕を目指すことによって、ローテーションも見えてくる。そこは恥ずかしがらずに目指していきたい」。ベテランが見据えるのは、３・２０開幕阪神戦だ。

　暖かい日差しが降り注ぐ。１１時４０分。誰もいない真っさらなブルペンに姿を見せた。白球が糸を引くようにミットに収まっていく。意識したというのは、バランスとタイミング。「試合で結果を残すための準備をしていくだけ」と午後からもおかわりブルペンへ。初日から１００球スタートと、投手陣の柱としての自覚がにじんだ。

　昨季は勝ち頭としてチームを支え、鼓舞し続ける一年だった。それでも石川は首を横に振る。「チームとして、８勝が勝ち頭ってよくない。今年も若い選手と競い合って、グラウンドに立ちたいと思ってます」。不惑を迎えても、ファイティングポーズは崩さない。高津監督も開幕投手候補の一人に指名し「狙ってもらわないと困るよ。でも大ベテランが、それほどの気持ちで来てくれたことがうれしいですね」と目尻を下げた。

　昨季の阪神戦は１勝１敗、防御率１・６４。通算でも２５勝をマークするキラーは「ホーム開幕ですし、なんとかいいスタートを切れるように」。下馬評を覆す戦いへ。ベテラン左腕が静かに、決意を込めた。