巨人 阿部2軍監督は熱い男 「スパルタ式」は愛情の裏返し 内田順三氏が語る
プロ野球のキャンプは第2クールに突入。連覇を狙う巨人では今季から指導者に転身した阿部慎之助2軍監督(40)にも注目が集まっている。
阿部2軍監督を20代から知るデイリースポーツウェブ評論家・内田順三氏(前巨人巡回打撃コーチ)は指導者としての資質に太鼓判を押すとともに、若手育成に必要な要素を助言した。
「こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、紅白戦で勝った負けたは関係ない。ただ4日の試合後、阿部が担当記者に『選手を1面にしてあげて。俺はいいから』と話していたことには感心したね。選手への愛情を感じた。
阿部はスパルタ式で、言葉は荒っぽく聞こえるかもしれない。でも厳しいだけではなく、熱く、愛のある男なんだ。後輩には起きたことではなく、それまでの過程や準備についてよく話していた。就任してすぐに『期待の若手はいない』なんて言っていたけど、あれも奮起を促すメッセージ。外国人にもすごく気を使うし、あだ名をつけたりジョークを言ったり、優しさを感じるよね。
指導者の資質は十分に備えている。捕手出身だから洞察力はあるし、視野も広い。昭和のにおいも漂うけど、新しいことにも敏感。あれだけの技術があるのにベテランになっても年下の筒香や山田哲にバッティングの話を聞いて取り入れていた。指導者に就任してすぐにドミニカへ外国人を視察に行ったように、行動力があり、勉強しようという意識も非常に強い。指導者になっても創意工夫してやっていくんじゃないかな。
昨年、阿部がファームで監督をやると聞いた時に『それはいい勉強になる』と賛成した。原監督が長嶋監督の下で学んだように、ファームでの指導経験は必ず生きる。何年後かは分からないけど、阿部自身が1軍で監督をやる時、レギュラーを張れるような選手を育ててほしいね。
ただ、選手を育成するというのは本当に大変だよ。技術だけでなく、体力、根性も養おうと思っているだろうけど、これから『何でこんなことができないんだよ』と思うこともたくさん出てくる。彼ほどの選手が、自分がやってきたことを伝えても、ファームの選手は簡単にはできない。ドーンと目線を下げて指導してあげることも必要。我慢、辛抱しながらやっていってほしい。
それと、育成はひとりでは絶対にできない。彼がガンガンやるからと言って、まわりが引いたらダメ。助言したり、意見できたり、いい参謀役がいればいいんだけどね。彼を中心に、束になってやっていってほしいね」
◆内田 順三(うちだ・じゅんぞう)1947年9月10日生まれ、72歳。静岡県出身。現役時代は左投げ左打ちの外野手。東海第一から駒大を経て、69年度ドラフト8位でアトムズ(現ヤクルト)入団。75年日本ハム移籍。77年広島に移籍後、82年限りで現役引退。通算成績は950試合485安打25本塁打182打点、打率・252。83年以降は2019年まで広島、巨人で1軍打撃コーチ、2軍打撃コーチ、2軍監督などを歴任した。20年からはJR東日本の外部コーチを務める。