巨人・坂本 谷さんのおかげ「あの一言がなかったら…」谷佳知氏と対談
東京五輪の侍ジャパン候補で今季の活躍が期待される選手をデイリースポーツ評論家の谷佳知氏(47)が直撃する第2回は、巨人・坂本勇人内野手(31)です。近年目覚ましい成積を残し続ける坂本だが、実は谷氏のおかげだった…。2007年に巨人に入団した“同期”が打撃開花の秘話を明かし、日本一、2000安打、五輪への思いも語った。
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谷佳知氏(以下谷)「インフルエンザ大変だったね」
坂本勇人内野手(以下坂本)「自主トレの時もかかったので。1カ月で2回ですよ」
谷「びっくりだね」
坂本「びっくりですよ。僕インフルエンザ初めてかかったんですよ。それでいきなり1カ月で2回…」
谷「そうか(笑)。ところで昨年だけど本塁打と打点でキャリアハイ。何か変えたの」
坂本「あんまり特別自分の中で変えたことはないんですけど、すごく遠くに飛ばそうというのは、練習の中でしていたので。それをずっとやっていたら、そのイメージでどの投手でも打席に立てるようになって。その練習のスイングが試合でも。どちらかというと自分は合わせてしまうタイプだったんですけどね」
谷「当てるのはうまいタイプだよね」
坂本「いつも試合で合わせてしまっていたんですけど、結構マン振りできるようになって。それが原因だと思います」
(続けて)
坂本「僕はこの4年間成績がいいんですけど、実は谷さんに(2016年の)神宮でのオープン戦で『やばいんですよ』と言った時、『右膝がちょっと(投手側に)行くのが早いんじゃない』と言われて。その年、松井(秀喜)さんもキャンプに来られていて『軸足が大事だ』と話をされていたけど、体の力も自分とは違うしなという感覚で聞いていたんですよ。でも谷さんに言われて、すごい意識してやってから、その年首位打者。ホンマにその一言からめっちゃよくなったんですよ」
谷「その時のオープン戦はよくなかったんだよね」
坂本「そうなんです。でも右膝のことを言われてから。今も僕はそれしか意識していないので。あの一言がなかったら」
谷「もともと実力あるからだよ」
坂本「お世辞じゃなくて。めっちゃくちゃ変わりましたね」
谷「勇人は悪くなると、全体的に前に出て打ちに行き過ぎる。それが気になって『右足をもっと置いた方がいいよ』と言ったんだよね」
坂本「あれはデカかったです」
谷「(笑)。それと今年は五輪だね」
坂本「どうですか、五輪?」
谷「俺の時はアテネで応援は少なかったけど、東京は多いし、緊張するだろうね」
坂本「僕初めてWBCに出た時は、めちゃめちゃ緊張しました。お客さんが全員日本の応援なので。あれ以上緊張したら野球できないですよ(笑)」
谷「勇人が侍の中で一番緊張感持ってやっているな、と見えたね。五輪でも一番やれるんじゃないかと思っているよ」
坂本「調子がいい時期に来て欲しいですね。短期決戦なので」
谷「五輪では本当に金メダルを取って欲しいね」
坂本「どういう感じなんですかね、優勝したら」
谷「俺も銀と銅は持っているけど。嫁さんは金だけど。全然違うよ、色が違うと」
坂本「シーズン中にもし金メダル取るじゃないですか、その後ちょっと大変そうですね。優勝争いとかしていればいいですけど」
谷「あと今年は2000安打。まだ俺の方がちょっとだけ上だけど(谷氏が1928本、坂本が1884本)。今年抜かれるね」
坂本「残り10本とか5本になれば意識するかもしれないけど、まだ116本あるので。そんな気にしていないけど、最年少(※)とか言われるのがすごい嫌で」
谷「記録記録と言われるとそればっかり意識しちゃうしね」
坂本「だからあまり意識しないで。四球も選べなくなっちゃうので」
谷「しかし13年目で2000本って考えられない。やっぱり出続けるのがすごいよ。それと、今年こそは日本一なりたいよね」
坂本「そうですけどやっぱりパ・リーグは強いですね。投手もですけど、打者が振れていますよ。何が違うんですかね?」
谷「セ・リーグは組み立てが中心で、変化球で入って真っすぐとかいろいろやるけど、パ・リーグはほとんど真っすぐで攻める。勝負球も」
坂本「それに打ち負けないように、打者も強く振る、ということですか。認めたくないけど明らかにセ・リーグの方が負けています」
谷「でも巨人は日本一になる可能性はあると思うよ。力のある選手が多いし。今年の目標は何かな」
坂本「日本一と2年連続MVPを取りたいです。それが一番チームに貢献できると思うし。チームが優勝しないとMVPは取れないと思うので」
谷「頑張って」
※通算2000安打の最年少記録は1968年・榎本喜八(東京)の31歳7カ月。坂本は2000安打にあと116。88年12月14日生まれの坂本は、7月13日までの達成となれば、榎本の記録を更新することになる。