【ヨシさんの野球教室】プロだからこそ基本を徹底的にこだわる
阪急、オリックスでエースとして活躍し、現役引退後も投手コーチとして数多くの好投手を育てたデイリースポーツ評論家・佐藤義則氏(65)の野球コラム「ピンチはチャンス!ヨシさん野球教室」をお届けする。ステイホームが叫ばれる今、レッスンを中心に、役立つ情報、思い出話など幅広く語っていく。
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ピッチングにおいて、重要なのは足元から指先に至るまでの関節をどう使うか。そして、関節を正しく効果的に使い、また、故障を防ぐために、関節と関節の間にある筋肉の強さが求められる、ということをこれまで強調してきました。
その中で紹介したのが、ボールを左右に転がしてもらって、捕球を繰り返すことで下半身の筋肉を強化するペッパー。さらに両腕を左右に広げて前後にぐるぐる回す、肩の筋肉強化運動でした。
どうですか?「そんなの、僕らでもやってるよ」という内容でしょう。そうなんです。プロ野球選手だから、練習内容もまねできないようなすごいことをやってそうに思われがちですが、プロだからこそ、実は基本的なことに、徹底的にこだわるんです。
150キロ投げるピッチャーも、大ホームランをかっ飛ばすスラッガーも、普段の練習メニューはアマチュア選手と変わりません。付け加えるとすれば、アマチュア以上に、簡単なことを重要視していると言えます。
少し、ピッチャーの話から脱線しますが、楽天に釜田(佳直)というピッチャーがいます。2012年に、高卒ルーキーとして入団して、勢いのあるボールに魅力がありました。当時の星野監督が、5月20日、甲子園での阪神戦に、プロ初登板、初先発させました。
この試合、楽天が先制しての一回裏です。1アウト1塁から、マートンがショートゴロ。この、何でもない当たりをショートがエラーして、そこから3点を失いました。2回で72球。新人の釜田にはつらいマウンドだったと思います。
普通なら、ゲッツーでチェンジです。しかし、こうしたミスがあれば相手もプロです。どんどんつけ込んでくる。
つまり、プロの世界では、超人的なプレーは求めません。イージーなプレーをどれだけ確実にこなすか。それが勝敗に直結する。その基本を繰り返す延長線上に、レベルの高いスピードや制球力、守備力、球際の強さなどがある。基本ですよ、基本!