【ヨシさんの野球教室】肘から先を強く振る準備が大切

 阪急、オリックスでエースとして活躍し、現役引退後も投手コーチとして数多くの好投手を育てたデイリースポーツ評論家・佐藤義則氏(65)の野球コラム「ピンチはチャンス!ヨシさん野球教室」をお届けする。ステイホームが叫ばれる今、レッスンを中心に、役立つ情報、思い出話など幅広く語っていく。

  ◇  ◇

 投手力アップ。前回は「いちばんオススメの練習」として、シャドーピッチングでのフォーム作りを紹介しました。タオルを持って、できれば鏡や窓に自分の姿を映して、本番のように投げる。

 できるだけ、キャッチャーに近いところで「バーン」という音がなるような腕の振り方を覚えていこう、という内容でした。

 なぜシャドーピッチングがいいかというと、ボールの重さがないから、肩などに余計な力が入らず、リラックスしたまま腕を上げることができ「100点のフォーム」で腕を振れるからです。

 そうやって覚えたフォームのまま、今度は実際のボールを使って投げる。これは当然、ボールの重みが加わりますから、最初は全く同じに投げることは難しいかもしれません。これは回数を重ねて、シャドーピッチングと、実際の投球との差を少しでもなくしていくしかありません。

 ただ、本来の体の使い方が分からなければ、フォーム作りもできませんね。少しでも「100点」に近づくため、もう少し解説します。

 私は肘から先を強く振ることを重視します。が、そこばかり意識していてもうまくいきません。その準備が大切です。右投手であれば、振りかぶって、左足を上げながら腰を右にねじる。そこからステップに入ります。

 この時間です。体が三塁側を向いている時間。これを少しでも長く取ることができれば、リラックスして腕を上げる時間が作れます。

 腰をねじったところから、お尻を捕手方向にずらしていく。重心が下がりながら、体は三塁方向を向いたまま前に出る。右肘が上がり、着地したところで、上体が横回転し、肘から先を振っていく。このイメージです。

 気合が入りすぎると、体が先に正面を向いて球も弱くなり、打者からも見やすいボールになりがちです。体も心も、力を抜けば抜くほど、強いボールが投げられますよ。

 ◆佐藤 義則(さとう・よしのり)1954年9月11日生まれ、65歳。北海道出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。函館有斗から日大を経て、76年度ドラフト1位で阪急(現オリックス)入団。最多勝(85年)、最優秀防御率(86年)、新人王(77年)。95年8月26日・近鉄戦でノーヒットノーラン。通算成績は501試合165勝137敗48セーブ、防御率3.97。98年現役引退後はオリックス2軍投手コーチ、阪神、日本ハム、楽天、ソフトバンクの1軍投手コーチを務めた。2020年からデイリースポーツ評論家に復帰。

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