夏の甲子園中止へ 緊急事態宣言延長が…よりマイナスに動いた
第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕予定・甲子園)が15日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、戦後初となる中止の方向で検討されていることが分かった。まだ正式決定ではなく、大阪市内で取材に対応した日本高野連・小倉好正事務局長(62)は、5月20日の第2回運営委員会に向けて準備を進める意向だが、取り巻く現状が厳しいことも認識。中止の結論が避けられない状況であり、20日の運営委員会後、正式に発表される見込みだ。
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ただでさえ困難な状況の上に、さらなる逆風に吹きつけられた形だった。風向きがよりマイナスへと動いた一つの要因に、緊急事態宣言の延長があった。元々、5月6日までとされていたものが延長となり、関係者は「これでかなり難しくなった」と話す。
コロナ禍の影響は多岐に及ぶ。中止となった春のセンバツの「救済措置」のような策が進まないのも無理はない。仮に選手権の中止とは別で、全国で都道府県大会を一律で開催するのは「選手権」の枠組みを外しても難しい。前向きに独自の大会開催を検討する地域もあれば、「生徒を思えばやってあげたい」と話す一方で、現実を見る地方の高野連関係者もいる。
例えば無観客で地方大会を実施した場合に運営費をどうするか。各高野連にとって入場料は大きな収入源だが、春の大会も中止だった中で万全の態勢で運営ができるのか。その上で「感染者を出さない対策を取れるかというと…」と前出の関係者は話す。地域差も出る。
また学校教育において学生の安全リスクは冒せない。が、リスクを背負ってでも野球がやりたいという球児がいるのも現実だ。野球人生における高3の夏。将来を見据えた勝負と考えた生徒や、完全燃焼できる日々を心待ちにした生徒もいるはずだ。高野連だけでなく野球界全体でこの現実を受け止める必要がある。夢を持ち続けた生徒に救いがないままではさびしすぎる。(デイリースポーツ・アマ野球キャップ・道辻 歩)