球児たちよ下向くな 夏の甲子園中止…全国各校の監督たちがエール

 日本高野連は20日、第102回全国高校野球選手権大会の運営委員会と理事会を開き、夏の甲子園大会と地方大会の中止を発表した。新型コロナウイルス感染拡大による悲報を受けた全国各校の監督らは無念の思いをにじませながら、選手たちに送ったのは最大級のエール。必ず立ち上がってくれると教え子を信じた。

 2季連続の聖地開催がなくなるという知らせに全国の名将たちも心を痛めた。夏連覇が懸かっていた履正社・岡田龍生監督(59)は「生徒たちは無念で悔しい気持ちで一杯だろう」と落胆。宿敵である大阪桐蔭・西谷浩一監督(50)は「監督として無力さを感じます」と声を絞り出した。

 新型コロナウイルスという見えない敵によって日常は一変した。公式戦どころか、練習もままならない。夏の風物詩ともいえる国民的イベントの動向については嫌でも注目される。連日繰り返される開催可否についての報道に“主役”となる18歳たちは心が休まることはなかったに違いない。

 しかし、悲しんでばかりはいられない。明徳義塾・馬淵史郎監督(64)は円陣で座る選手たちへ向け、前を向かせる言葉を掛けた。「高校野球の目的は人間づくりやから。自暴自棄になったり、目標を失ってふにゃふにゃの人間になったりしたらアカンど」。練習の前から落ち着きがなかった生徒たちは次第に、真剣なまなざしへと変わっていった。

 全国各地の指導者の思いは同じだ。球児にとって甲子園を目指す2年半はかけがえのないもの。ただ、これからの人生の方が長い。だからこそ、下を向かないでほしいと願う。近江・多賀章仁監督(60)は「残す期間での真価が問われる。最後まで1、2年生にしっかりやる姿勢を見せてほしい」と最上級生へ期待を込めた。

 苦境によって知れた選手の一面もある。4月以降、全部員を帰省させた日大三・小倉全由監督(63)は生徒の取り組みに勇気づけられた。「家でも近い者同士で声を掛け合って練習しているようでした。チームを超えて(中学時代の仲間と)よくやってくれていたみたいです。本当に高校球児って純だなって。素晴らしいところを見せてもらいましたね」

 この頼もしさがあれば、必ず乗り越えられる。ひっそりとしたグラウンドはいつ活動再開となってもいいように、しっかりと整備されていた。「熱くノックして、熱い日大三の練習をしたい」。高校野球の底力、高校球児の底力を信じている。

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