高野連「痛恨の極み」夏の甲子園中止決定…各都道府県の独自開催を財政支援へ
日本高野連は20日、オンラインで、8月10日から甲子園で開催予定だった第102回全国高校野球選手権大会の運営委員会と理事会を開催し、同大会と49地方大会の中止を決定した。夏の甲子園大会は戦後初の中止であり、春夏連続での中止は史上初。新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを完全になくすことができず、休校措置が長期間に及ぶ現状から、地方大会に十分な準備期間が取れないことなどが理由となった。今後はできる限り、各都道府県の独自開催をバックアップしていくことになる。
検討されてきたこととは言え、正式に決定した事実はあまりに重い。春に続き、夏の甲子園まで悪夢の中止。「球児の皆さんに、今日は苦渋の決断をお伝えするという悲しい日となってしまいました」。厳しい練習に耐えてきた球児に向け、夢舞台を用意できなかった結果に、日本高野連の八田英二会長は苦しい胸中を吐露した。
「春の選抜大会に続き、夏の選手権大会、この開催中止を伝えることはまさしく断腸の思いです。球児ばかりでなく、高校野球をこよなく愛してこられた方々にとっても痛恨の極みと思います」
日本だけでなく、世界中で被害をもたらす新型コロナウイルスに、純粋な球児の夢が奪われた。教育の一環である高校野球。球児の安全面を優先に考えた時、無観客開催なども一つの方向性としてはあったものの、地方大会と全国大会ともに、感染拡大のリスクを排除しきれなかった。
また、緊急事態宣言の延長もあり現在も休校措置が続く学校もあるように、地方大会に向けた準備期間の短さも大きな理由だ。大会の延期に関しても「夏休み中にしか実施できない」とし、夏休みが短縮される可能性や、地域によって8月から始まる秋季大会を考慮して考えなかった。
今後は「選手権」としてではなく、各都道府県が独自開催を検討していく。開催に関しては「自主的な判断に任せる方針」とした上で、可能な範囲で援助も行う考えだ。
「もし都道府県に対しまして、支援ができるならばという形で、ある程度の限界はあるかも分かりませんが、財政的な支援はさせていただくと理事会の了承は得てます」と八田会長。また、新型コロナウイルス対策においてもここまで得た知識を、都道府県連盟から求められれば、提供する意向。甲子園中止の傷は消せなくても、可能な範囲で球児のために動いていく。