西武・松坂、ネット空間グラウンドを “平成の怪物”独白提案

 “平成の怪物”も「選手にかける言葉は見当たりません」と表情を曇らせた。横浜のエースとして1998年のセンバツで優勝、同年夏は準々決勝・PL学園戦で延長十七回を投げ抜き、さらに決勝戦では京都成章にノーヒットノーランという離れ業で春夏連覇を果たした西武・松坂大輔投手(39)が、戦後初となる夏の甲子園中止を受け、球児たちにエールを寄せた。

  ◇  ◇

 正直、開幕の3カ月前の決定は早すぎるという思いはありますが、中止という重い決断をされた日本高野連、主催者の方々は、議論を尽くされた上での決定だと思います。決断をもっと遅らせることもできたのかもしれませんが、「夏の甲子園」と代表校決定の「地方大会」はセットでしょうし、学校自体が再開されていない現状では仕方がないことだと思います。

 センバツに続き、夏の甲子園の開催がなくなったこと。もし、自分がその立場に身を置いたことを考えると選手の皆さんにかける言葉は正直、見当たりません。本当の苦しさは当事者にしか分からないですから。事実をどう受け止め、次に向かうかという問いに答えも見つかりません。甲子園というものは、それだけ大きな存在です。

 ただ、選手の心に寄り添い、アイデアを出し、実行することは大人にできます。「できない」ことを決めるだけではなく、「できることは何か…」を考える。従来の形の地方大会でなくとも、仲間と積み上げた日々を証明する舞台を用意してもらいたいです。

 今、ラグビー界では高校3年生の選手支援へ、プレー動画をSNSで拡散する「♯ラグビーを止めるな2020」のプロジェクトが話題を呼んでいると聞きます。選手個々や、学校が独自で発信することがルール上難しいのであれば、例えば各都道府県の高野連が許可した上で各学校から送られた動画をのせる。投手ならブルペン投球、野手なら打撃練習、紅白戦の様子でもいいと思います。球場を使えず、移動のリスクがあるならば、学校のグラウンドでの取り組みを「インターネット上のグラウンド」で紹介することはできないでしょうか。

 地方大会を見ることもできないプロ、大学、社会人の関係者も目にすることができるかもしれません。これは一つのアイデアであり、本当にちっぽけなことです。

 願わくば、新型コロナウイルスの感染が終息し、選手たちが1試合でも多くプレーできることを祈るだけです。

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