磐城“二人の監督”に恩返しを 転勤の木村前監督「プレーハード」のエール胸に
日本高野連は10日、ウェブによる第6回理事会を開催し、8月に甲子園球場で「2020年甲子園高校野球交流試合(仮称)」を実施することを発表した。新型コロナウイルスの影響で史上初の中止となっていた「第92回選抜高校野球大会」の出場32校を招待し、各校が1試合を戦う。原則無観客で、8月10日から12日、15日から17日の計6日間で開催。夢が途絶えた球児への「救済措置」として、最後に甲子園という最高の舞台が整えられる形となった。
進学校らしく課外授業を終えた3年生がそろった午後5時30分。21世紀枠で今春センバツの出場権を獲得していた磐城ナインに吉報が伝えられた。念願だった聖地での試合。喜びをかみしめる選手もいれば、笑みを浮かべて練習に向かう選手もいた。
あきらめかけていた夢舞台では、“二人の監督”の思いを胸に戦う。3月まで指揮した木村保前監督(49)は転勤でチームを離れた。代わって4月から就任したのが渡辺純監督(38)。両指揮官の熱意は現チームにしっかりと宿る。
主将の岩間涼星捕手(3年)は今でも木村前監督を頼ることがある。夏の甲子園中止決定後にも連絡。「『最後までプレー・ハードでやり切ってほしい』ということを言ってもらえて」。屈託のないエールで前を向けた。
現指揮官にも心から感謝している。4月17日から活動自粛し、今月8日に活動再開。限られた時間で一人一人と真剣に向き合ってくれ、「渡辺監督のもとで野球ができることも喜びに感じて、あの舞台で戦ってきたい」と力を込めた。
新たな教え子の晴れ舞台を渡辺監督は「本当によかった」と誰よりも喜んだ。木村前監督も「コバルトブルーのユニホームが躍動する姿を楽しみにしています」と激励。“二人の恩師”のため、32人の部員は全力で臨む。