日本高野連は１０日、ウェブによる第６回理事会を開催し、８月に甲子園球場で「２０２０年甲子園高校野球交流試合（仮称）」を実施することを発表した。新型コロナウイルスの影響で史上初の中止となっていた「第９２回選抜高校野球大会」の出場３２校を招待し、各校が１試合を戦う。原則無観客で、８月１０日から１２日、１５日から１７日の計６日間で開催。夢が途絶えた球児への「救済措置」として、最後に甲子園という最高の舞台が整えられる形となった。

　うれしいのは、選手だけではない。思いもよらない吉報に天理の中村監督は「感謝しかないです。春も夏もなくなって、本当に無念だったので…。子供たちが甲子園でプレーできると思うと、グッとくるものがあった」と選手の前で涙したことを明かした。

　昨秋の近畿大会では、強豪の履正社や大阪桐蔭を下して優勝。その後の神宮大会でも４強入りを果たすなど、ナインは１試合ごとに急成長を見せた。だからこそ、その力を全国で試せないことにやるせなさを感じていた。

　また、中村監督自身、甲子園優勝経験者ということもあり「何とか甲子園を経験させてあげたい」という思いがあった。そんな中で、巡ってきた甲子園に感慨深いものがあったのだという。「天理が出て良かったと思ってもらえるように、天理らしい野球を正々堂々とやりたい」。夢に見た聖地での一戦に全力を尽くすと誓った。