張本氏、落合氏、清原氏、松井氏も…超一流に共通したこだわり 内田順三氏の回顧
広島や巨人で数々の強打者を育成し、名伯楽と呼ばれる内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)。巨人コーチ時代には球界を代表するスラッガーの指導にも携わった。超一流の“共通点”を聞いた。
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落合、清原、松井と球界を代表する4番打者を間近で見てきたが、落合はキャンプ地の室内、清原はキャンプ地の宿舎、松井は試合後のジャイアンツ寮でといったように、常にマスコミには見えないところで素振りを繰り返していた。カンカラカンカラ、パフォーマンスで練習するようなことは絶対にしなかった。
共通していたのは道具に対するこだわりも同じ。いい選手だからバットを折ることは少ないのだけど、消耗して折れることはある。プロは試合中に折れたバットを裏方さんがベンチ裏の置き場所に持っていく。そのまま処分するか、選手が自分でロッカールームに持っていくか。3人は後者。持ち帰ったバットをどうしていたかは分からないが、そうした行動から、自分のバットに愛情を持っていたことがよく分かった。
これは張本さんも同じだった。日本ハムの現役時代、ロッカーが隣になったことがあるが、張本さんは服もきれいにたたんで整理する、非常に几帳面な性格。道具に対しても丁寧で、グラウンドキーパーがケースにバットをポンポンと放り込んでいると、「粗末に扱うと傷が付くぞ」と注意していた。「ロッカーに置いといて打てるか。商売道具は刀と同じだぞ」とも言い、バットの保管場所にも気を使っていた。梅雨時には重くなるが、当時は今のように乾燥剤などはない。湿気対策で試合が終わるたびに持ち帰り、温度も湿度もちょうどいいという理由で、車のトランクに保管していた。
私が新しいバットを使う時、ビニールをはがしてすぐに使おうとしていると「そんな気持ちで打てるか?」と言われたこともある。張本さんはバットを新調するときもすでにグリップが汚れていて、自宅で手になじませてから使っていたことが分かった。
今の巨人で言えば、丸がバットのグリップについた汚れを丁寧に削り落としている姿が見られる。彼は試合前の練習方法なども確立されているが、超一流になればなるほど、ルーティンやこだわりというものをしっかり持っている。