巨人は開幕戦カードで阪神に３連勝。内田順三氏（デイリースポーツウェブ評論家）が３連戦を振り返り、選手の心理を巧みに利用した原采配に注目した。

　　◇　　◇

　巨人は最高のスタートを切った。初戦、七回に吉川尚が打った逆転２ランは、もう一度やれと言われても難しいバッティング。内角球を坂本がさばくようにして振り抜いたが、ゴルフで言えば８番アイアンを短く持って芯でコントロールするような見事なスイングだった。

　この３連戦では原監督が長いシーズンを見据え、随所に選手へのメッセージをちりばめていたように思う。初戦で吉川尚が打つ直前、無死一塁で打席に送ったのは湯浅。終盤の大事な場面で経験のある選手ではなく、プロ初出場の若手を送ったところから、控えの全ての選手に対する信頼を感じさせた。ここで、しっかり決めた湯浅にとっても自信になったはずだ。

　３戦目、その湯浅を１番で起用したが２三振。すると、巡ってきたチャンスでその湯浅に代打・北村を送り、これが的中。ベンチスタートさせた吉川尚にも刺激を与えながら、相乗効果を狙っている。

　代走、守備固め、継投でもリリーフを信頼して送り込んでいるが、四球を連発したビエイラは１試合で登録抹消。「外国人でもこうなるよ」という厳しい姿勢は、しっかり選手に伝わっただろう。

　最後に、３連戦で活躍したパーラにも触れておきたい。初戦、リクエストで判定が覆って内野安打になったが、全力疾走があったからこそのヒット。開幕戦で「Ｈ」ランプがともったことは本人にとって非常に大きかった。心に余裕が生まれ、２戦目、３戦目では失投をしっかりホームランにしてみせた。

　原監督が７番からスタートさせたことも、心理的に楽にさせていたはず。チームだけでなく、パーラ自身も最高のスタートを切ったことで、他球団からすると非常に厄介な存在になった。