日大三島は静岡に惜敗 “初陣”永田監督あと一歩届かず

 「高校野球静岡大会・2回戦、静岡2-0日大三島」(18日、清水庵原球場)

 最後の最後まで甲子園常連の古豪・静岡を苦しめた。日大三島・永田裕治新監督(56)が就任初の公式戦、指導歴の浅いチームでその強豪に劣らぬ戦いを見せた。

 「この子ら、こんなに元気だったんか」。それすらまだ、手探りだった。4月1日から指導を始め、5日から自粛期間に入る。練習再開は県内でも最も遅い、6月15日。わずか1カ月で、3年生最後の大会に臨まなくてはならない。

 生徒の特徴や性格を完全に把握するには至らなかった。逆に、こちらから伝えられることもわずかだ。

 そこで、とにかく頭を使うことと、絶対に諦めない姿勢を求めた。

 それがこの試合で結実する。永田監督が驚くほど、ベンチは一丸となって“いい声”を出し合う。そこへ、選手に負けない音量の関西弁で指示が飛ぶ。報徳学園でも、U18日本代表監督としても、一貫した永田監督のスタイルだ。

 初回、甲子園経験のある静岡のエース・松本蓮から2死満塁の好機を作る。県内トップクラスの左腕に、簡単な相手ではないことを知らしめる。

 三回には1死一塁からヒットエンドランを決め、打者走者が二塁を欲張ってアウトになるや、次打者に伝令を送り、これでもかと静岡を揺さぶる。

 五回無死一塁でもエンドランを企画。0-2の最終七回にも2死二、三塁と、一打で試合を振り出しに戻せるところまで追い詰めた。

 守ってもエース・福原俊吾投手(3年)が、2点は失ったが3度の満塁機はいずれも静岡を封じた。ギリギリのところでの踏ん張りを「チャレンジャーとして食らいついていく練習の成果を見せられた」と胸を張った。

 主将の進士凌大朗内野手(3年)は泣きじゃくりながらも「あそこまでの試合ができた。最後まで諦めないところを後輩に見せられた。(永田新監督に)粘れるチームにしていただけた」と、静岡をあと一歩まで追い詰めた誇りを、最後の試合で手にすることができた。

 新天地での初采配。永田監督は「高校野球ですから。どこでやっても一緒です」。この日はあと1本が出ず、あと一歩、届かなかった。その不足分を補ってありあまる指導を、改めて誓った。

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