巨人が変わった(2)若手を成長させる原&元木体制 内田順三氏の視点

 巨人が首位を快走している。大補強に頼っていた時代から一変し、岡本や吉川尚ら生え抜きの若手が次々と活躍。昨季まで巨人のファームで選手育成に尽力した内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)の視点も織り交ぜ、巨人の変化に迫った。

 ◇ ◇

 17年、シーズン途中から巨人2軍監督となった内田氏はフロントからこう言われたという。「ひとりでもふたりでもいいので、自前の選手を作って下さい」。

 当時の2軍には強化指定選手だった3年目の岡本、ルーキーイヤーの吉川尚もいた。広島で2軍監督の経験もあった内田氏は勝敗を度外視して若手に経験を積ませていく「カープ式」を導入し、成長を促した。「スカウトが持ってくるレポートを確認して枠にはめず、能力を伸ばす。『源気』という言葉を大事にしていたけど、やる気を高めながらサポートするのが我々の仕事だった」。

 球団が若手育成に本腰を入れ、18年には岡本が飛躍。これは当時の1軍監督である高橋由伸氏の功績とも言えるだろう。「何でもかんでも押しつけられるのは時代に合っていない。意思を尊重しながら個性を出していくほうが、今の選手には合っているのかなと思います」。選手の長所を伸ばし、才能をつぶさない。由伸流の指導方針と我慢強い起用法が実を結び、待望の和製大砲が誕生した。

 時代とともに、変わっていった球団方針と巨人の空気。内田氏は再々登板となった原監督についても、変化を感じたという。「スポーツ界でパワハラなどの問題が多くあって、(18年オフの)就任時には『伸び伸びと』なんていうことも口にしていた。実際、以前はベンチで眉間にしわを寄せていたこともあったけど、今ではそうした姿はみられない。元木(ヘッドコーチ)もうまく間に入って、選手がやりやすい空気を作っているよね。元木をコーチにしたのは、大ヒットと言えるんじゃないかな」。

 内田氏は原監督が指揮を執った3期すべてでコーチとしてチームに在籍。若手がプレーしやすい空気を作り、積極的に起用していく姿に「原監督は、その時代に合わせて変化できるのがすごいところ」という。

 フロント、現場が一体となって導いた若手の台頭。今季は投手では戸郷、野手では北村や増田大らが奮闘している。

 今年、巨人は全国各地にいるOBとスカウト契約するなど選手発掘の体制も強化。24年3月以降には新ファーム球場も完成する予定だ。常勝球団の構築へ、「育成の巨人」はさらなる進化を目指している。

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