北野は惜敗 エース長曽我部が8回2失点12Kの快投も涙
「高校野球大阪大会・4回戦、興国2-0北野」(4日、豊中ローズ球場)
大阪屈指の進学校・北野が白熱の投手戦の末、敗退した。
先発した左腕エース・長曽我部健太郎投手(3年)は8回4安打2失点、毎回の12奪三振。自身も内容はこれまでで一番の投球と振り返った。ただ127球の力投も相手右腕の浅利が9回完封。打ち崩すことはできなかった。長曽我部投手は「勝ちきれなかったのは悔しい」と涙を流した。
バッテリーを組んだ有方智紀捕手(3年)とは小学校3年の冬から同じチームに在籍し切磋琢磨(せっさたくま)してきた。中学2年まではお互いに投手を務めライバル関係。ただ、3年からバッテリーを組むと、中学3年時に軟式野球の夏大会で大阪の頂点に立った。
左腕は女房に向けて「キャッチャーとして支えてきてくれてありがとうと言いたい」と声を震わせ感謝の気持ちを伝えた。
有方捕手は「今日のピッチングが今まで受けてきた中で一番だったので、ほんまに長曽我部のおかげで楽しい野球人生だった」と話した。
大学は別々の進路を目指している2人。この試合が公式戦での最後のバッテリー。集大成にふさわしいコンビネーションを見せた。
有方捕手は要所で2度、盗塁を刺し左腕を援護。長曽我部投手もそれに応えるように全力で腕を振った。この日は毎回の12奪三振。特に相手を翻弄(ほんろう)したのはチェンジアップだ。
この球種はコロナ禍にほぼ毎日、公園でキャッチボールを行い習得したものだった。「試行錯誤しながら、握りとかも変えながらっていう感じで。最後に良くなって、この大会、結構チェンジアップでも三振取れたので、練習したかいがあった」と有方捕手は喜んだ。
最後は少し照れながら写真に収まった2人。コロナ禍で例年とは異なる最後の夏となったが、この2人だからこそベストパフォーマンスを発揮できたのだろう。大学で離ればなれになってもお互いの関係性はきっと変わらない。ありがとう-。思いが詰まった最後の夏だった。