巨人 賛否を呼んだ原采配 もし相手チームの打撃コーチなら…内田順三氏の視点

 巨人・原辰徳監督の采配が賛否を呼んだ。6日の阪神戦(甲子園球場)、0-11の展開で増田大輝内野手を登板させ、中継ぎ投手の消耗を回避。だが、日本では浸透していない采配に「相手に失礼」、「巨人でやってはいけない」など批判的な声もあがった。デイリースポーツウエブ評論家・内田順三氏の考えを聞いた。

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 賛否を呼んだ采配となったが、個人的には驚くことではなかった。今年はコロナの影響で過密日程となり、コンディション維持がより難しい。大リーグでは行われている采配で、日本でもいずれ行われる時が来ると思っていた。巨人も事前に準備をして、増田大が最も適任ということでマウンドに送り込んでいる。

 「相手に失礼」という声も聞く。だが、もし、私自身が相手チームの打撃コーチをしていたら「投手を使いたくないのだな」くらいにしか思わないだろう。むしろ、野手が投げることで打者にとっては打てる確率も上がるわけだから、チャンスだなと思ってほしい。

 投手の分業制が定着し、中継ぎが先発するオープナーという戦略も広がりを見せている。大差で負けている展開で野手が投げることも、他球団でもこれからは当たり前になる時代がくると思う。

 ファンあってのプロ野球だし、野球への思いが強い球界OBから、さまざまな声が出るのも当然だろう。ただ、ひとつだけ「巨人はやってはいけない」というのは違う。伝統、歴史の重みを感じることは必要だけど、野球はどこでやるのも一緒でしょう。「最後まであきらめるな」とは言うものの、0-11の展開で九回にひっくり返すことなど、現実的には不可能に近いのだから。

 原監督は日本一になることしか考えていない。昨年、ソフトバンクに4連敗を食らったことをかなり悔しがり、チーム内にもその気持ちというものは伝わっていた。主力に送りバントをさせることも、若手を積極的に使ってチーム力を上げながら戦っていることも、すべては日本一になるため。劣勢の展開で野手を使ったことも、長いシーズンを勝ち抜くために必要だということ。

 スポーツマンは誰だってそうだが、原辰徳という男は負けることが嫌いで、負け方にもこだわりを持つ。結果的にその後も勝ててはいないが、下降気味のチームにインパクトを与えたという意味も込めていたと思う。アイデアマンだから、今後もそういった新しい戦術や采配を恐れることなくしていくだろう。

 最後に、登板した増田大にも触れておく。彼は育成ドラフト1位で入ってきたが、ルーキーの頃から非常に器用で、走力と守備ともに魅力があった。3軍時代は川相監督が鍛え、2軍時代は片岡コーチが走塁技術を磨きあげたが、ベンチや守備時での声の出し方や指示の仕方を聞いていても、野球をよく知っているなという印象だった。

 走力がある選手は他にもいるが、彼はとにかくトップスピードに入るのが速い。そして、思い切りがいい。今はチームにとって、欠かせない切り札となったね。

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