【メジャースカウトの眼】体強い大分商・川瀬、お膳立てできる花咲徳栄・井上

 中止となった今春のセンバツ出場校32校が招待された「2020年甲子園高校野球交流試合」が開幕。ようやく聖地に戻ってきた球児たちに、プロも注視している。今回の交流戦では、日本で米大リーグのスカウトを20年以上務めるカンザスシティ・ロイヤルズの大屋博行国際スカウトが金の卵を分析。学年や進路にこだわらず、メジャーの視点で気になる素材を紹介する。

  ◇  ◇

 選手の余白、伸びしろを見るのは、米大リーグのスカウトとして重要だ。高校時代の松井秀喜や松坂大輔のように完成度が高い選手がいれば文句なしだが、ドラ1だけが活躍するわけではない。3位や5位指名から活躍するのは素材がよいから。大会初日はそんな魅力のある選手がいた。

 まず大分商の右腕、川瀬君。初回に3点を取られたのが顕著だったように、バランスがよくなく力ずくで投げる。アクセル全開でもロスが多い。しかし、効率の悪い投げ方で、最後まで体力が持つのはそれだけ体が強いということ。今は完成度40~50%だが、体をうまく使ってすべてがかみ合えば、ソフトバンクの抑え、森唯斗のように馬力でガンガン投げそうだ。

 また、花咲徳栄の4番・井上君は、自分の打ちたいタイミングで打てる。自分でお膳立てできるため、来る球に合わせて減速せずにフルスイングする。思い出すのは横浜、巨人で活躍した村田修一。東福岡では本塁打を打つタイプではなかったが、タイミングの取り方がうまく、プロでは本塁打王になった。

 2人ともおそらく将来は1軍に入れるだろう。もし米国へ行きたいと言えば、声をかけたい素材でもある。才能を開花させられれば、スカウト冥利に尽きるというものだ。

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