好打者・谷佳知氏が語る阪神・藤川球児の火の玉 低めのボールを仕留め損なうと…
阪神は8月31日、藤川球児投手(40)が今季限りで、現役引退することを発表した。オリックス、巨人で活躍したデイリースポーツ評論家の谷佳知氏(47)は打者として対戦した藤川との勝負を振り返った。
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球児と言えばノビのあるストレートなんだけど、昔、何かの企画でピッチャーをランク付けしたことがあった。投手全体としても上位ランクに位置づけして、リリーフに限ればストレートのノビ、キレ、威力というのはナンバーワンだと言っていい。
実際に球児がマウンドに上がるのは1イニングだけだから、対戦するのも1打席限定。だから順応するというのは難しいし、あのストレートがあるわけだから。対戦した時はほとんどが直球で、たまにフォークも来るんだけど、全球、捉えにいくんだけど捉えきれない。ほぼ打ち損じをしてしまう。
特に高めのストレートは威力もあるから、特に捉え損ねるんだよね。だから打席の中で考えたことは、タイミングを早める、始動を早めると言うよりも、とにかく高めのボールを振らないことだった。何球かに1回だけ来る低めのボールを捉えるように意識していたんだよね。
あれだけの回転数でノビもあるから、こちらが低めと思っていても実際は真ん中くらいのゾーンに来る。だから打席に立った時はワンバウンドのボールが来るくらいのイメージで目付をすることで、ちょうど低めにポイントが合う。
もちろん、その1球を仕留め損なってしまうとあとは三振が待っているだけだから。それだけ球児との対戦では集中力を高めていたし、1球できっちり捉えないといけないピッチャーだった。
ああいうライジング系と言ったらいいのかな。あれほどのストレートを投げるピッチャーはなかなかいないし、自分が対戦した中でもストレートはナンバーワンの投手だった。