リーグ連覇狙う広経大 ソフトバンク・柳田からの寄贈Tシャツでナイン一丸
広島六大学野球秋季リーグ戦が12日開幕する。春季リーグ戦はコロナ禍により中止となり、1年ぶりのリーグ戦開催。昨秋優勝の広経大が連覇を狙う。
昨秋、7季ぶり26度目の優勝を飾った広経大は、中国六大学リーグ、四国六大学リーグの優勝校との中国四国地区代表決定戦も制し、24年ぶり5度目となる明治神宮大会出場を果たした。しかし、初戦で城西国際大に3-5で惜敗。終盤の追い上げも、あと一歩及ばなかった。
悔しい敗戦に「全国大会での上位進出」がチームの新たな目標となった。ところが、春季リーグ戦はコロナ禍で中止となり、部活動も4月から2カ月間停止。その間、選手は自主トレーニングに励む一方、今年1月に助監督に就任した元伯和監督の東賢孝氏(48)が社会人野球で培ったレベルの高い野球をリモート動画などを使ってナインに伝授。チーム戦術の浸透を図った。
6月から全体練習を再開。堤裕次監督(34)はイキイキとした表情で練習に取り組むナインの姿に頼もしさを感じたという。「野球ができる感謝や喜びなど、いろんな思いを背負って練習を頑張っている。特に精神面での成長は目を見張るものがある。(コロナ自粛期間は)とても意味のある2カ月間だったと思う」と話す。
1年ぶりに迎えるリーグ戦。投手陣の柱となるのが左腕の石本涼人投手(3年)だ。昨秋は5勝を挙げ、防御率0・50で最優秀防御率賞を獲得。地区代表決定戦でも1日で2勝を挙げる大活躍でチームに全国切符をもたらした。しかし、神宮大会ではコンディション不良で登板機会はなかった。新チームでは副主将に指名され、「今までは自分のことで精一杯だったが、周りが見えるようになり、マウンドでも落ち着いて投げられるようになった」と自己分析。今リーグでは2季連続の最優秀防御率賞とチームの優勝に照準を定め、神宮のマウンドで投げることが目標だ。
打線を引っ張るのはクリーンアップの一角を担う白金浩樹内野手(3年)。「チームが苦しい時に助けられる1本を打ちたい」と気合を入れる。昨秋はリーグ7位の打率・333。今季は「4割を目指している。首位打者のタイトルを取りたい」と意欲を見せる。堤監督も「チームの中では走攻守すべてにおいて突出した選手」と全幅の信頼を寄せる。
昨秋、神宮大会出場が決まった時には、OBのソフトバンク・柳田悠岐外野手(31)が出場記念の赤いTシャツをつくり、約120人の部員全員にプレゼントしてくれた。今も選手はこのTシャツを着て練習に励んでおり「もう一度、神宮へ」の思いは強い。例年なら春季リーグで引退する4年生も、今年は30人中11人が残った。森口雄大主将(3年)は「神宮で一つでも多く勝ち進んで、たくさんの人を笑顔にすることがチームの目標です。そのためにも秋季リーグは優勝しか考えていません」と、ナインの思いを代弁した。