ソフトバンク・東浜、追悼星 急逝から一夜、恩人・川村氏に捧げた
「日本ハム1-2ソフトバンク」(17日、札幌ドーム)
今季最長の8回を投げ、4勝目を挙げたソフトバンク・東浜は緊張から解き放たれると、あふれる感情をこらえきれなかった。「やっぱり…本当に…、入団してからずっとお世話になっていた方なので…」。試合後の取材。前日16日にくも膜下出血のため、遠征先の神戸で急逝した川村隆史3軍コンディショニング担当スタッフの話になると、涙が止まらなくなった。
登板前夜に、伝えられた事実に動揺しないはずがなかった。それでも「今日は背中を押してくれた」と懸命に腕を振った。三回1死一、三塁、中島がセーフティースクイズを仕掛けてきたが、マウンドを素早く降りグラブトスで得点を許さなかった。八回1死二塁のピンチもしのぎ、開幕戦以来となる無失点投球で守護神の森につないだ。
3球団競合の末、12年度ドラフト1位で亜大から入団した東浜は、3年目で「このままじゃ終わるな」とプロの壁にぶつかった。行き詰まった時、相談したのが川村氏だった。同氏が橋渡しをしてくれたことで、米ロサンゼルスでの自主トレが実現した。
「そこから1軍で投げられるようになったので、僕にとって恩人です」。殻を破るきっかけを与えられたことで、16年は先発ローテに定着すると、17年に16勝を挙げ最多勝に輝いた。
「試合は続くので、悲しいですけどしっかり頑張っている姿を見せ続けるのが僕らの仕事」。シーズン真っただ中の訃報を受け入れるのは容易ではないが、前向きだった故人が求めるであろう振る舞いをしていくつもりだ。ウイニングボールを手渡されると「今日のボールはしっかりお供えしたい」と言った。