元阪神の橋本監督も痛感…セカンドキャリアのため関西独立L兵庫が日本営業大学と提携
野球の関西独立リーグ・兵庫ブルーサンダーズは24日、選手のセカンドキャリアをサポートする一環として「日本営業大学」と提携することを発表し、大阪市内で会見した。
NPBの選手たち同様、独立リーグの選手たちも現役引退後の進路に戸惑うことは多い。以前から選手たちの引退後を懸念していた同球団の川崎大介代表理事が、スポンサー探しの営業先で同校の中田仁之学長を紹介されたことから今回の提携につながったという。
同代表理事は「どういう仕事があるのかも知らない選手がたくさんいます。選手たちに野球以外にも可能性があることを知ってもらいたいということで、協力していただくことになりました」と、日本営業大学との提携に期待を寄せる。
今年設立された同校は通常の大学ではなく、元アスリートのセカンドキャリアを手助けする教育機関だ。社会人として必要な知識、技能を教育し、社会へと送り出す。また、現役のアスリートが将来を見据えてビジネスを学び、準備することもできる。
今年から兵庫ブルーサンダーズの指揮を執るのは元阪神投手の橋本大祐監督。1997年度ドラフトで阪神から3位指名を受けて入団した。同期の1位は中谷仁捕手(現智弁和歌山高野球部監督)、2位はその後にエースとなった井川慶投手、4位に坪井智哉外野手(現DeNA打撃コーチ)らがいる。また、6位の奥村武博投手は1軍公式戦登板なしで引退したものの、現在は難関の国家試験を突破して公認会計士として活躍している。
橋本監督は腰を痛めたこともあり、1軍登板のないまま2000年限りで現役を引退した。故障がちだった現役晩年に球団のトレーナーと接することが多かったことで、野球の仕事に携われる可能性のある職種としてトレーナーという職業を意識したという。引退後は専門学校に5年間通って鍼灸(しんきゅう)師と柔道整復師の資格を取得。鍼灸整骨院を開業した。現在も監督業との二足のわらじで忙しい日々を送っている。
橋本監督の場合は引退後の方向性を早めに決めており、比較的スムーズに第二の人生を歩み出したようにも思えるが…。「いやいや、厳しかったです。苦労しました。勉強をちゃんとしたことがなかったので、(鍼灸の)学校へ行ってもまず勉強のやり方が分からなかったんです。周りの方々に教えてもらいながら何とか資格が取れましたけど、周りのサポートがなければ途中であきらめていたかもしれませんね」と振り返る。
橋本監督にとっての“周りの方々”が、ブルーサンダーズの選手たちにとっての日本営業大学となることが期待されている。中田学長は「野球をしていたからこういう道、ということはない。個人の適正や希望もある。まずは適正検査を受けてもらった上で、それぞれの道をサポートしていきたい」と言う。
橋本監督は「(26日に)ドラフト会議がありますが、(独立リーグから)NPBに行けるのは限られた選手だけ。いつかは野球を辞めるときが来る。辞めた後の人生の方が長いわけですから、しっかりとしたセカンドキャリアを歩んでいってもらいたい」と話していた。