巨人はなぜ速球を打てなかったのか ソフトバンク打線との違い 内田順三氏の視点
日本シリーズは25日に終了し、ソフトバンクが巨人を破り、4年連続の日本一に輝いた。2年連続4連敗の屈辱を味わった巨人は記録的な貧打に苦しんだが、この原因はどこにあったのか。昨季まで巨人コーチを務めていたデイリースポーツウエブ評論家・内田順三氏に聞いた。
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巨人の一番の敗因は打線が機能しなかったこと。直球も変化球も腕を強く振って投げ込んでくるソフトバンク投手陣に、本来のスイングをさせてもらえなかった。打者にとって腕を振って投げる投手の攻略は難しい。投手の良さを引き出す甲斐のリードにも翻弄され、的も絞らせてもらえなかった。
ソフトバンクと巨人の打者の違いもはっきり見えた。巨人打線について、速球への対応を指摘する声が聞かれたが、少し甘いコースでもファウルにしてしまう。一方、ソフトバンクの打者は一球で仕留める。
この違いは何か。いろいろな要因が考えられるが、ひとつはタイミングの取り方。ソフトバンクの選手はみな始動が早い。一本足打法の王さんの指導が伝統として浸透しているのか、早めに足を上げて、空振りしてもいいからと背中まで振り切る。三振を恐れていないし、割り切りが上手だよね。9番の甲斐までもがそのスイングをするんだから。始動の早さで言えば、かつての巨人・高橋由伸のイメージ。投手が投げる前に足を上げて打ちにいっていたよね。
それと、巨人の各打者は初戦に千賀の低めを徹底的に見逃していたでしょう。あれはあれで見事だったけど、そうするとぎりぎりまでボールを見ようと意識が働くから、速球にどうしても差し込まれてしまう。そうした背景も、対応ができなった一因に挙げられるだろうね。
準備の部分で言えば今シリーズ前に打撃マシンを160キロ近くに設定した打撃練習で体感、動体視力、目慣らしを行っていた。これも方法のひとつだが、投手のボールを打つのと違い、打撃で大事なタイミング、間合いが崩れる恐れもある。ブルペンで投手の球道をたくさん見るなど、いろいろな練習方法はあると思う。
いずれにしろ、みなで反省点を挙げ、来年へアイデアを出してやっていくだろう。原監督が言っていたように、これを糧に一回りも二回りも大きくなってほしい。