【佐藤義則氏の核心コーチング・1】背中の障害物に触れず、真っすぐ立つ感覚養う
野球は今、いわゆるオフシーズンだ。プロ、アマに限らず、試合のないこの時期をどう過ごすかによって、今春、大きな差がついてくると言われる。名投手コーチと名高いデイリースポーツ評論家・佐藤義則氏(66)が、神戸西リトルシニアに協力いただき、指導する模様を掲載する。選手はもちろん、指導者、親御さんまで必ず役立つ核心指導で、ぜひレベルアップを!
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佐藤です。新しい年を迎えて、フレッシュな気持ちで野球に取り組もうという選手の皆さんも多いと思います。今回から、中学硬式チームのピッチャーに、僕なりに気づいたことを伝えていきたいと思います。
早速ですがまず、オーソドックスなタイプの左ピッチャーを指導します。
神戸西リトルシニアの皆さんは、お世辞抜きに皆、いいフォームで投げています。特に投げ終わりの形がいいのはバランスよく投げられている証拠です。
この左投手も、全体としてフォームをいじる必要はありません。ただ、ボールが上下にばらついていました。これはしっかりと体重移動ができないままリリースするため、高く抜けやすい。それを嫌がって、今度は手で細工するから引っ掛かるという、一つの理由から高低両方の球が出てしまっていました。
まず、意識を修正してもらいます。「ボールをできるだけキャッチャーに近いところで離す」。これを強く意識する。
そのためにどうするか。体重移動で、左投手であれば右膝からリードしていくような形を取れると、スムーズになります。ただし、意識する場所はその前の段階です。
この投手はわずかですが、右足を上げた時に、体重がかかと側にかかる傾向がありました。体の後ろに体重がかかったまま投球動作に入れば、ステップした足は開くし、ステップ幅も短くなります。
ドリルがあります。これは田中将大投手が楽天時代にもやって、今も時々続けてくれているものです。体重が後方にかかる癖のあるピッチャーの背中側に、障害となるものを置きます。
今回はほうきの柄を使いました。そのほうきに触れないように、ピッチングを行います。ただしステップした足が着地した時点で、その障害をどけてください。
これを繰り返すことで、真っすぐに立つ感覚を覚える。そうすると、膝のリードで体重移動ができます。移動がし終わった、その膝の上で回転することができれば、ボールを捕手寄りでリリースでき、制球力が上がります。