巨人・菅野の“神動画”誕生秘話 球速すべて的中の奇跡…撮影スタッフが明かす舞台裏
斬新な企画や内容で大いに注目を集める巨人の公式YouTube。389万再生回数(1月15日現在)で球団トップを誇る菅野の超人気動画には、“誕生秘話”があった。
ジャイアンツ球場の室内ブルペンで投球練習をするエース。投球前と投球後にそれぞれ球速を予測し、ほぼ正確に数字を当てる。例えば投球後に137・5キロと予想したが、実際の計測と同じ137・5キロだった-。その驚異の“感覚”に周囲も度肝を抜かれ、ほとんどの民放テレビ局が放送するほど話題になった。
動画が撮影されたのは昨年4月。新型コロナウイルスの影響で自主練習期間中だった。巨人のSNS班で専属的に動く精鋭4人の中の1人・栁舘俊さん(「ブランドコミュニケーション部」所属)が、明かす。「報道陣の方もジャイアンツ球場に来ることができないため、露出が減ってしまう。それはファンとのつながりが薄くなるということ。だったら自分たちから発信しないといけないんじゃないかと」。首脳陣や選手の許可も得て連日、練習風景を撮影していた。
通常、試合前の練習でも「何が起きてもいいように」(栁舘さん)とハンディカメラを1~2時間ずっと回す。菅野の超人気動画が誕生した昨年4月11日も、そうだった。当初、外野手の亀井がブルペンで投球練習をし「すごく面白いなあ」と撮影。すると、おもむろに菅野が登場し、まるでコーチのように「いい球、投げるね」とジョーク交じりに語った。
和やかな光景だったが、菅野もブルペンで投球をすることになり継続してカメラを回した。「どうやら、これは球速を言って当てている、というのが分かった。ブルペン入りからずっと回していたらああいうことが、たまたま起きた」と栁舘さん。偶然の産物ではあったが、スタッフの粘りと執念が生きたと言える。
巨人の公式YouTubeの狙いは「映像で選手の価値を上げる。動画を出す時も、それが基準になっています」。菅野の動画では「一流ピッチャーのすごさが、きちんと世間の人に伝わった。もともと価値のある選手ですが、さらに価値を高められる」と語る。
ナインの価値をもっと上げ、ファンを喜ばせるために常にエンターテインメントを追い求める-。老舗球団のSNSチームは、グラウンド内外で、面白い“ネタ”を探し続ける。(巨人担当・伊藤玄門)