巨人期待の若手「山下は何本かの指に入る逸材」「吉田正になれる」内田順三氏の視点

 リーグ3連覇、悲願の日本一奪還を目指す巨人。今オフは野手の補強でDeNAから梶谷、メジャー通算196発のスモークと同96発のテームズを獲得したが、若手の成長なくして戦力の底上げにはつながらない。元巨人コーチで、デイリースポーツウエブ評論家・内田順三氏に期待の若手3野手を挙げてもらった。

 ◇ ◇

 昨年の日本シリーズでソフトバンクに力負けしたから、より攻撃的にパワーのある選手をそろえたね。打線の厚みが変わってくるだろうし、原監督の頭の中には1番から6番まで構想があるんじゃないかな。

 ただ、外国人はふたを開けてみなければ分からない。それに勝つためにはスピードを駆使したバリエーションのある攻撃も必要。そういった点で見ると、昨年成長したスピードのある選手たちがどう存在感を出していくかに注目したい。

 特に吉川尚は昨年、初めてシーズンを通して戦力になったが、実力的にはまだまだこんなものではない。私が2軍監督、コーチをしていた時も岡本と吉川尚はレギュラーとして巨人を背負っていく存在になると思っていた。守備を見ても、いずれはショートとしてやっていけるだろう。だからこそ、今年はセカンドで去年以上の活躍を期待したいよね。

 もうひとりは松原。丸、梶谷、外国人選手がいる外野手のレギュラー陣にどう割って入っていくのか。吉川尚と松原、ふたりとも昨年の日本シリーズでは結果を残せず、課題を痛感したと思う。速いボールに対して始動を早めてどう対応していくか。割り切りも大事になってくるだろう。

 それと、もっと小技も磨いていく必要もある。例えばセーフティーの構えをして相手をマウンドから動かす。チームのために捨て身となり、相手から嫌がられる打席というものを増やしていけたら、よりチームに欠かせない存在になってくるように思う。

 もうひとり、気になるのは山下だね。巨人の巡回コーチをしていた19年に高卒1年目でファームの首位打者を取った選手。去年はけがで1年間苦しみ、オフには育成となったが、かなりのポテンシャルを秘めている。

 私が37年間プロを指導してきた中でも高卒新人としては広島・前田智徳らを含めて何本かの指に入るほどの逸材だと感じたし、似たような体格から「吉田正尚になれるぞ」と声をかけていた。再び育成となった悔しさをはね返して、活躍してほしい。

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