球児の直球をゲームで再現 試行錯誤から生まれた“火の玉ボール”

 株式会社コナミデジタルエンタテイメントの野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」と「プロ野球スピリッツ」シリーズは、それぞれの特徴により、選手作成の難しさも違う。例えば今まで苦労した阪神選手は誰になるのか。「パワプロ」シリーズのシニアプロデューサー・森博信氏、「プロスピ」シリーズのプロデューサー・山口剛氏に話を聞いた。

  ◇  ◇

 森氏「パワプロでは球種を絞って搭載する関係上、西投手ですね。多彩な変化球を感じてもらうためにどう表現するか。そのあたりは非常に苦労しました」

 通常は使用頻度が多い球種を選ぶが…。

 森氏「ピッチングの肝、そこまで投げてないけど印象的に残っている球種が西投手の場合はカーブ。そういう球種も入れてあげたいというところですね」

 球種を絞っている中で、ファンがイメージする西勇を作る。逆に全球種を表現する「プロスピ」は難しさの方向性が全く逆になる。

 制作チームはテストを兼ねて社内大会を開くが、山口氏は決勝戦で対戦チームである阪神・藤川の直球を捉えてサヨナラ満塁弾を放ち「これでは藤川投手の再現度が足りないので再調整することになりました」という。

 山口氏「藤川投手の基本は直球とフォーク。球種が少ないとゲーム的に読みやすいが、分かっていても打てない直球が代名詞なので」

 そこで誕生したのが特殊能力「火の玉ボール」。これで直球が強化されて見事に藤川の直球が再現された。ファンの共感を生む選手作成の陰には、試行錯誤の日々があるのだ。

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