巨人岡本?鷹柳田?三冠王に近いのは誰か 内田順三氏「落合は1打席が丁寧だった」
プロ野球史上7人だけ、日本人に限れば5人しか達成していない三冠王。04年の松中信彦(ソフトバンク)を最後に出ていないが、今その可能性を感じる打者は誰か。また大偉業を成し遂げるための、ポイントになることは何か。3度の三冠王に輝いた落合博満氏の選手時代を知る内田順三氏(デイリースポーツ・ウエブ評論家)に聞いた。
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非常にハードルは高いが、スピードとパワーを兼ね備えた広島・鈴木とソフトバンク・柳田、パワーがあり若くして主軸に成長した巨人・岡本とヤクルト・村上はその可能性を感じさせる。共通するのは本塁打を広角に量産できること。彼らは3割を打った経験もあるが、最もカギとなるのは打率だろうね。
パワーを追い求めるとスイングの正確性や再現性というものが下がるもの。その中でどう打率を上げていくかがポイントだが、巨人コーチ時代に接した落合は「フォアボールを選べるかどうか」とよく言っていたね。これは山本浩二さんも同じことを言っていた。
落合は1打席が非常に丁寧だった。やみくもに初球から打ちにいくことはしなかった。じっくり待ちながらバッティングカウントを良くしてフォアボールも選んでいた。積極性ということは大事なことだけど、無駄なことを避け、チャンスでも無理やり打ちにいくことはしなかった。
いいバッターというのは投手との距離感を保ち、自分の間合いを作ることができる。そして、グラウンドの90度を使って打球をヒットゾーンに飛ばす。前に飛ばせばヒットになる確率も高まることを考えれば、三振を減らすことも大事。去年、三振が減り、打率を上げた村上がいい例だよね。
今は本塁打が増えるようラッキーゾーンを新設している球場もあるし、人工芝によって球足が速くなり野手の間を抜けることもある。ただ、三冠王は自分の力だけでは実現できない。前を打つ打者の状態が良くなければ打点は増えないし、後ろの打者次第ではマークも厳しくなる。これら全ての条件がかみ合った時、ファンも期待する「三冠王」が誕生するんじゃないかな。