楽天・金刃憲人さん 元巨人ドラ1 スタッフ転向…生きる道示してくれた星野監督

 楽天のチーム戦略を担う金刃憲人さん(球団提供)
 06年度の巨人入団会見。前列左が金刃さん。右は高校ドラフト1位の坂本
 横手投げに転向した楽天時代の金刃さん
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 長引くコロナ禍は球界にも大きな影響を及ぼしている。異例の状況が続く中でも、チームを支える裏方は欠かせない。現役時代に注目を集め、今も陰で奮闘する元選手を紹介する。楽天のチーム戦略室チームサポートグループ・金刃憲人さん(36)は06年希望枠で巨人に入団し、楽天移籍後は13年の日本一に貢献。現職で奮闘する背景には故星野仙一氏の後押しがあった。

 田中将が復帰し、13年以来の日本一へ機運が高まっている楽天。当時、球団初の快挙に貢献した金刃さんは現在、チーム戦略室チームサポートグループのマネジャーとして忙しい日々を送っている。

 仕事は多岐にわたる。投手のデータ分析、配球の資料作成、コーチへ育成方針の提案…。休日も野球のことを考える。それでも仕事を紹介する表情は明るい。「やりがいはめちゃめちゃあります」。引退後に現職となって4年目。今では部下4人を率いる。今年はコロナ禍により、最少人数でキャンプを行うため、仙台に残ってデータ整理、育成プラン作成を行っている。

 恩師との出会いが人生の転機だった。立命大では最速152キロ左腕として注目され、06年度ドラフトの“目玉”となった。巨人希望枠でプロ入り。ただ、07年に7勝を挙げた後、思うような成績を残せず、12年オフに楽天へトレードとなった。

 「クビだと思って仙台に来た」

 しかし、故・星野仙一氏に救われる。13年4月、当時の星野監督に呼び出された。「今日から横で投げろ」。いきなりのサイドスロー転向指令だった。

 「そんなむちゃな…」。それでも冷静になると指揮官の思いが理解できた。「武器が必要と思っていて、そのきっかけを与えてくれた」。生きる道を示してくれた言葉を信じ、翌日から3カ月間、毎日約300球のネットスローに取り組んだ。

 横手投げを習得し、13年は救援で、39試合で防御率1・85。球団初で唯一の日本一メンバーとなった。「つらかったけどやってよかった」。楽天では5年間プレー。功績を評価され、17年の引退後に現職を任された。

 裏方に回ることが決まった17年11月の球団納会。星野氏へ報告のあいさつに向かうと、再び背中を押された。「選手とスタッフは天と地だ。つらいこともあるだろう。我慢してチームのために働いてくれ」。直後の18年1月に同氏は死去。生前に裏方を大切にしていた“理解者”からの最後の言葉は胸に響き、新たな仕事に向かう決意が固まった。

 「勝敗も僕らの責任でもある」。8年前のあの歓喜をもう一度-。日が当たる働き場ではなくても、星野氏の言葉を胸に奮闘を続けていく。

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