巨人ドラ1「平内少年」の素顔 中学時代の恩師が振り返る
今年は新型コロナウイルスの影響で無観客スタートとなったプロ野球のキャンプ。デイリースポーツでは、球場で観戦できない読者に代わって、最前線の今をお届けする『プロ野球番記者ワイドEYE』(随時掲載)を企画。巨人からはドラフト1位・平内龍太投手(22)=亜大=に注目。兵庫・魚住東中学時代の野球部監督・細谷潤氏が当時を振り返り、「平内少年」の意外な一面を明かした。
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8年前のことだが、細谷氏の目に今でも焼き付いている光景がある。それは、丹精を込めて黙々とマウンド整備をする平内の姿。「投げ終わった後、ブルペンでもマウンドであっても、本当にきれいにしていた。野球道具にしても、時間をかけて、本当に丁寧にやっていました」と当時を振り返った。
そうしていつものように美しく仕上げたマウンドにある日、珍客がやってきた。空からハトが数羽降りてきたかと思えば、フンをして飛び去っていく。「せっかく俺が整備したのに!」。プリプリと怒る教え子に、細谷先生は温かいまなざしを向けていた。
平内は「自分が使ったブルペンやマウンドは自分で整備しようと思っていたのもありますし、結構きれい好きなので。やっぱりきれいにし終わった時とか、すぐ使う時に気持ちがいいので」とこだわりを口にする。“ハトのフン事件”については「覚えています。懐かしいですね」と笑った。
勉強も頑張っていた。その日学んだことをノート1ページ分に記して翌朝提出する日課があったそうだが、「彼は1日もさぼることなく毎日提出し続けた。学習面の方も粘り強くやっていたと思います」と述懐する。ちなみに成績は平均レベルだったという。
中学最後の夏の大会では2試合連続ノーヒットノーランを記録。軟式球ですでに140キロを投げていた。報徳学園や大阪桐蔭といった強豪校からスカウトされていた逸材だったが、「メンタル面の心配はしていました」と細谷氏。「四球や味方のミスで表情に出てしまう、カッカしてしまうタイプ」。神戸国際大付に進んでからもその傾向があった。
だが、ドラフト指名後にあいさつに訪れた平内と話をして、その不安は吹き飛んだ。「すごく精神的に成長していた。言葉遣い、礼儀、話し方、落ち着いてきちんと対応できていると思いました。亜細亜(大学)さんで、すごく鍛えていただいたんだなと感じました」と成長ぶりに目を見張ったという。
「チームの代表として、エースになるようなピッチャーほどそういうのはダメだと(亜大の)生田監督から。人間的な話も結構あるので、そういうのがあって成長できたかなと思います」と平内。育ててくれた恩師らへの感謝を胸に、プロで勝利を目指す。