日本ハムGM補佐・遠藤良平さん 史上4人目東大卒プロ、米留学でよみがえった情熱
コロナ禍が続く中でもチームを支える裏方の存在は欠かせない。現役時代に注目を集め、今も陰で奮闘する元選手を紹介する「裏方はスゴ腕」。第5回は日本ハム・遠藤良平GM補佐(44)。4人目の東大出身選手として99年度ドラフト7位で日本ハムに入団。選手としては実力を発揮できなかったが、現役での経験も生かしてチーム強化を担っている。
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現役引退から今年で20年が経つ。遠藤さんは今もグラウンド外から日本ハムを支えている。仕事は戦力編成。GM補佐として2軍中心の若手育成プラン作成や、アマ野球の現場でスカウティングに力を注ぐ。一方で1、2軍首脳陣とコミュニケーションを取り、方針を現場へ伝える橋渡し役でもある。「楽しいですね。忙しいと思ったことはない」。快活な笑顔が印象的だ。
昔から野球への情熱は人一倍強かった。日本屈指の進学校・筑波大付から、東京六大学でのプレーを目指して東大へ進学。1年春から神宮のマウンドに立ち、4年間で57試合に登板。東大歴代5位の8勝を挙げた。
最高峰で力を試したい-。東大時代に芽生えた願いはかない、99年度ドラフトで日本ハムの7位指名を受け、4人目の東大出身選手としてプロ入り。2年目に初の1軍登板を果たしたが、同年オフに戦力外通告を受けた。
「大学ではたくさん投げ、たくさん負けて、たくさん悔しさを味わった。プロでは、それすら味わえず苦しい日々だった」
ただ、戦力外通告とともに、球団から米・大リーグ球団への研修留学を提案された。「負けてばかりだけど負けず嫌い」という遠藤さん。プレー以外で野球に関わるつもりはなかったが、「魅力的だった。メジャー球団の内部に入って、見たことのない米国野球を間近で見られる」。再び情熱に火が付き、2年間の留学を選択した。
米球界で学んだ経験を生かし、帰国後からチームの強化編成に携わってきた。目に見える成果が現れにくい分、「チームの成績、勝敗はすごく気になる」。結果を唯一の評価基準として受け止める。
遠藤さんにとっての裏方とは-。しばらく間を置いて、こんな答えが返ってきた。「グラウンドを輝かせるための役割。選手がどう輝くかで評価される仕事」。そして、「こちらにライトが当たり過ぎても困るよ」と、こそばゆそうに笑った。
現役時代の経験を踏まえて、選手には尊敬の念を持つ。「みんな、僕にできなかったことをやっている。華々しく見えても、彼らなりの苦しみやつらさがある。それを実感できるところは、今の仕事に役に立っているかもしれない」。胸にあるのは、選手へのリスペクト。遠藤さんは今日も人情味あふれるまなざしで選手を見つめている。
◆遠藤 良平(えんどう・りょうへい)1976年6月28日生まれ、44歳。埼玉県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。筑波大付から東大を経て、99年度ドラフト7位で日本ハム入団。史上4人目の東大出身のプロ野球選手。1軍登板は2001年10月1日・西武戦(西武ドーム)の1試合のみ。同年に現役引退後は日本ハムでフロント入り。15年からGM補佐を務めている。