「頑張れ!佑ちゃん」右ひじじん帯断裂の斎藤佑樹に北別府氏が渾身のエール
右ひじ内側側副じん帯断裂の重傷を負った日本ハム・斎藤佑樹投手(32)は蘇ることができるのか。キャンプでは投げ込みも行ってきたが、デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「緩急を使い、今までの経験を生かした頭脳的な投球」を復帰の条件に挙げ、エールを送った。
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斎藤投手は今年33歳、年齢的には曲がり角にきている。去年、右ひじを断裂するほどの大きな故障をしてしまったので、その痛みのぶり返しに対する恐怖心も伴うと思うけど、もうあとがないわけだから、それは考えずに向かっていってほしいね。
キャンプでは200球の投げ込みを行うなど、精力的に取り組んでいるようだね。全力投球ではないにしろ、今年にかける気持ちが伝わってくる。
彼が早実のエースとして甲子園で活躍していたころは、ジャイアンツに入った桑田君のようなクレバーな投手というイメージがあった。
決勝で投げ合った田中将大投手には荒削りな一面が感じられ、制球力の光っていた斎藤投手には完成された、仕上がった印象があった。その分、伸びしろが少なかったのかな。投げすぎもあってか、肩ひじの消耗が激しかったのかもしれない。入団1年目から活躍していたし、もっと勝てると思っていた。
直接的にはプロ入り後に経験した肩の故障が大きく影響しているのでしょう。投手の場合、ひじよりも肩の方が、その後にもたらす影響が大きいんです。
先にも言ったように“恐怖心”もあると思うが、それを言っていられない立場ということは本人も十分に承知していると思う。
しかしながら故障した恐怖感は、打者に打たれる以上に怖いものがある。少しでも違和感があると腕を振れなくなる。振れないと打者のタイミングが合ってしまう。怖さが消えて初めて腕が振れるんです。
もう一度しっかり作り直すという意味では、投げ込むことと同時にウエートトレーニングで、肩ひじの筋肉を強化することも大事ではないだろうか。このキャンプでは、そのことを念頭に、本人も今年が最後くらいの気持ちで取り組んでいるかもしれない。
私の場合、ウエートトレを取り入れたのは、ひじを痛めた後だった。11年連続2ケタ勝利を挙げていたころは、練習方法を変えたくなかったから。でも故障をきっかけにして、それまで敬遠していたものにも目を向けるようになった。
彼のケースと同じではないし、もうとっくに始めているかもしれないが、ウエートに限らず、やれるものは何でもやってみてほしいね。もちろん、専門的な知識をもったチームスタッフと相談しながらだけど。
ひじの状態さえ回復すれば、緩急を使い、今までの経験を生かした頭脳的な投球で、活路を求めることはできるはず。
「もう無理ではないか」というようなネガティブな声を耳にすることもあるけど、可能性がある限り、それを信じてチャレンジするしかない。私もそうだったように、球速に恵まれなくても勝てる投手はいるんですから。
やっぱり現役が一番ですよ。やることすべてやってダメなら諦めはつく。今年が勝負だと心に決めて、とにかく悔いのないシーズンにしてほしいね。
現役時代に連続2年勝てなくなったとき、「北別府はもうダメだ」「いつ引退すんや」という声が外野から聞こえてきたものです。
復活した年は、あと1年だけという気持ちでやらせてもらったので、彼の境遇が自分のことのように心配になるし、応援したい気持ちになる。
頑張れ!佑ちゃん。