元阪神・藤田太陽氏「今が一番幸せ」社会人ロキテクノ富山監督、徳島県内でキャンプ
元阪神で昨年12月に富山県を拠点とする社会人野球チーム・ロキテクノ富山の監督に就任した藤田太陽氏(41)が野球人生「最高」の時間を過ごしている。初めての監督業、一回り以上も年下の選手と向き合いながら、都市対抗優勝を目標に掲げる。西武、ヤクルトと渡り歩き、NPBで13年間プレーした右腕の新たな挑戦を聞いた。
「最高です。楽しいですね。現在進行形で最高です」。徳島県内で行う春季キャンプ、藤田監督の表情は明るく、どこまでも前向きだった。
昨年12月、チームがクラブチームから企業チームとなるタイミングで、ヘッドコーチ兼任選手から監督に就任。「勝つことには執着するし、自分もしっかりやらないといけない、とは思うが、それ以上に選手がやりやすい環境でやらせてあげたい」。監督として選手第一の姿勢を示す。
「自分が選手の立場でも、頭ごなしに『オレはこういう野球をするから』、と言われても、理解はできない。厳しく言った方がいい子はいるが、やっぱり野球は人でやるものなので。この人と野球をやりたいと思ってくれれば、こっちも裏切れない」。自分の経験を踏まえながら、指導者としての道を模索する毎日だ。
選手とは「会話」を最重要視する。「会話しないと人間性は見えてこない」といい、試合中のサインも選手それぞれを理解した上で出すことを理想とする。「100回、200回と練習しても、試合でサインプレーを出すかは、その選手のことをわかっていないと。そいつと心中するので」。野球のプレーにも、勝利を手にするためにも、まずは選手の人間性を理解していく。
企業チームとして新たに出発した今季、25日には初の対外試合となる四国ILp徳島戦で采配デビューを果たした(2-8で敗戦)。目標は「都市対抗優勝」だ。「優勝したい、じゃない。しますよ。50年かかるかもしれないですけど」と、冗談めかしながらも社会人野球の頂点へ決意を口にする。
これまでもプロを含めて指導者のオファーはあったが「今ここで指導者をしているのが一番幸せ」だという。日本一への道は長く険しい。「(優勝は)夢、じゃないな。目標です。大げさではなく。そのくらいの目標を持たないと。若い子に負けないように頑張ります」。大きな挑戦を前に41歳の新米監督は、さわやかに笑った。