「選抜高校野球・１回戦、仙台育英１－０明徳義塾」（１９日、甲子園球場）

　１回戦３試合が行われ、明徳義塾はエース左腕の代木大和投手（３年）が８回１失点（自責０）と好投したものの、打線が１安打と仙台育英投手陣に抑え込まれた。高崎健康福祉大高崎は下関国際に快勝した。

　「悔しい気持ちが一番強い」。試合後、代木は声を詰まらせながら言葉を絞り出した。

　失点はわずか１。二回１死二塁の場面で、低めのカットボールを左前に運ばれた。味方のミスも絡んだ失点。打線の援護もない中で苦戦を強いられたが「自分がカバーしきれず、抑えられなかったので実力不足」と言い訳はしない。日頃から「常にチームが勝つことを考えている」と話すエースは、敗戦の責任を一身に背負った。

　昨夏の甲子園交流試合・鳥取城北戦で納得のいく投球ができず、制球を重視するスタイルに取り組んだ。秋の高知県、四国大会では新しく習得したカットボールを中心に相手を圧倒。しかし甲子園ではそのカットボールを狙われた。１０安打を浴び、初回と四回以外の毎回で走者を背負う苦しい投球。再び全国の壁に阻まれ「もう一度制球を磨きたい」と、最後の夏へ向けて決意を新たにした。

　打線は仙台育英・伊藤の直球に狙いを絞っていたが、一度も先頭打者が出塁することができず、この日唯一の安打を放った高松紳志外野手（３年）も「完全に相手のペースだった」と唇をかんだ。

　馬淵史郎監督（６５）が「点差以上に実力差を感じた」と淡々と振り返った敗戦。六回１死二、三塁から満塁策を取り、次打者をホームゲッツーに抑えるなど、明徳らしい守備の堅さも見せた。夏はやり返す。悔しさを晴らすため、勝利を味わうためにも、もう一度この舞台に戻ってくる。